崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

日本は「楽園」なのか

2013年05月08日 05時44分53秒 | エッセイ
 今朝これから韓国蔚山大学生20人を迎えるために港へ向かう。大学間交流の一環として姉妹校との学生教育プログラムによるものである。下関は日韓海峡の交流の好立地条件もあって、このような交流が活発である。しかし大きい問題がある。それは日本の学生が韓国へ行きたがらないことである。交流とは言ってもほぼ韓国から日本への一方的な傾向が強い。それはここだけの話ではなく、多、少はあっても全国的な現象である。つまり日本の若者の内向き志向が濃いこと、口だけのグローバル化意識ともいえる。比較統計をみるとはるかに韓国人の留学生が人口当たり比率は日本とは比較ならないほど圧倒的多い。
 日本には海外留学は先進国で、現地調査は後進国でするという古いパラダイムが強く存続する。数年前北朝鮮で青年が私に「祖国は楽園である」と言った言葉が気になる。誰でも慣れた環境で生活するのが楽であることは当然である。しかしもっと「楽」を広げることも可能であろう。私の日本留学は今に比べて困難な状況の時代で無計画的に、乱暴な留学であったと思う。人生は計算通りに行くものではない。凸凹の人生を振り返ってみると運命のように何かによって導かれて生きてきたと思う。留学は人生にとって重要なものである。