verse, prose, and translation
Delfini Workshop
Ave
2020-01-16 / 日記

■よく眠れている。昨年10月の不眠が嘘のよう。遅い朝食を食べて片づけてから家の前でストレッチなどを行う。きょうも比較的雲の少ないいい天気だった。ウバ茶を淹れて仕事。夕方まで走ったところで、夕食の準備をする。玄米を精米するところからはじめて飯を炊きおかずを2品作って2時間すこし。その後も、仕事を続けて、一段落して夕食を家族と。夜はニコの仕事へ入る。俳句を一句作る。六本木の仕事は難航してなかなか楽にならない。ニコもまた。「冬石」という新しい俳号を思いつく。偏在する地上の石に徹する、冬の。カトリーヌ・ホッジのAveという詩を読む。不思議な宇宙の鼓動を歌っていて非常に印象的。この人は、ポール・ヴァレリーの恋人だった。
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冬の虹
2020-01-15 / 日記

ART WORK BY ROMIE LIE
■昼食を食べて空を見ると北東方向に虹が出ていた。局所的な冬の虹だったようだ。午後4時25分だった。週刊文春を買おうとして丸善とコンビニに寄ったが、まだ出ていなかった。終日、六本木の仕事を行う。紅茶と深蒸茶を飲んだ。夕方、塩羊羹を買ってきた。夜、一段落つけて、ニコの仕事に入る。俳句を何句か作る。昼に、Batesonを中華料理店のテーブルで読んだ。LuckacsとBatesonの言語論は、正反対で興味深い。2月の公開講座での発表のときに、二人を比較することを思いついた。夜は、プラごみを出した。
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ネルヴァル
2020-01-14 / 日記

ART WORK BY ROMIE LIE
■今朝は5時前に、震度3の大きな地震があって目が覚めた。このところ、連続して大きな地震が続いている。茨城県南部が震源だった。午後、掃除。その後、ニコの仕事に入る。夕方、散歩。夜もニコの仕事を行う。「ファンテジー」「シダリーズ」「アルテミス」など、ジェラール・ド・ネルヴァルの詩を何篇か読む。以前より、その良さが分かるような気がした。
2019年11月3日にBBCが重要な報道を行っている。ロウハニ大統領が、現埋蔵量全体のおよそ1/3に相当する埋蔵量を持つ新規油田を発見したと発表している。この情報と、ソレイマニ暗殺・イエメンでの暗殺未遂・ウクライナ航空機撃墜・イラン国内の反体制運動の高揚をつなげると、あるグランドプランの可能性が浮かび上がる。もちろん、一つの作業仮説であるのだが、イラン政権転覆計画である。ただし、世界戦争のリスクもあるので、プランというよりも、そういう方向に進んでいると観たほうがいいのかもしれない。英仏独の外相が共同声明を出し、事実上のイラン核合意廃棄につながる可能性のある「紛争解決メカニズム」を開始すると発表した。こうした動きも、イラン政権転覆という方向性を強化するかもしれない。
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シェイクスピアの額をしたチャーリー・チャップリン
2020-01-12 / 日記

ART WORK BY ROMIE LIE
■8時起床、ウェブチェック。午前中は、ケインズ全集第10巻の「バーナード・ショーとアイザック・ニュートン」と「アインシュタイン」を読む。ケインズは、56歳の頃、ニュートンの研究に没頭していた。ケインズとニュートンのつながりは、ちょっと意外な気もするが、両者ともにケンブリッジの出身で、ケイズはケンブリッジで数学を専攻し、最初の論文は確率論に関する数学論文だった。ニュートンに関心を持つのも頷ける。ただ、その研究開始は、意外に遅い。ケインズは激務が続き63歳で亡くなるのである。これに対して、ニュートンは、17世紀、18世紀の人にしては驚くべき長寿で、85歳で亡くなっている。そのニュートンは晩年に自分の人生をふり返って次のような美しい内省を残している。
「私が世間の人々にどのように見られているかは知らない。しかし、自分で思うに、私は海岸で遊んでいて、時折、普通よりも滑らかな小石やきれいな貝殻を見つけては喜んでいるただの子どものようだったと思う。しかしながら、巨大な真理の大海の方では、すべてが未知のまま、私の前に横たわっていたのである」
ケインズは、アインシュタインに実際に会っている。ケインズのアインシュタインの描写というのも独創的で、「シェイクスピアの額をしたチャーリー・チャップリン」というのである。我々は、アインシュタインの顔なら、ケインズよりも遥かに目に触れる機会が多い。あの舌を出した顔である。だが、あの写真は比較的後年のものではないだろうか。このとき、アインシュタインは47歳である。チャップリンに似ているというのは、人相が似ているということに加えて、行動も似ているということだろうと思う。アインシュタインに会った晩餐会で、退屈なスピーチが続いて、アインシュタインは、わざと自分の服に水をこぼして、退席するのである。ケインズは「授業を抜け出す少年を思い出させる」と述べている。面白いのは、その後で、退席したものの、ドアが外側から閉まっていて、外へ出られずに、また、自席に戻ったというのである。ケインズの描くアインシュタインは、どこか、アインシュタイン自身がその音楽を愛したモーツァルトを思わせるような気がする。このアインシュタインを描いた非常に短い文章は、欧州のユダヤ人問題にも触れていて大変に興味深い。ケインズは欧州のユダヤ人を二種類に分類している。一つは、アインシュタインに代表される「清純なくすくす笑いをする愉快な小鬼」であり、もう一つが「小さな角や松脂の熊手や油じみた尻尾を持った悪魔に仕えているユダヤ人」である。後者をケインズはあきらかに嫌っている。
この全集の編者は、慌てたように、「ヒトラーが数年後にユダヤ人の迫害を始めたとき、ケインズはユダヤ人亡命者の救援活動において最も積極的な人々の一人であったことを想起しなければならない」とわざわざケインズを偏見から救い出すかのように編集者註をつけているのである。ちょうど、魔術師ニュートンに対する後世の英国の科学者と同じように、ケインズに対する後世の日本の経済学者たちのスタンスもまた興味深いものがある。
ケインズの文章は、ケインズの本音が出ていて興味深い。また、当時、欧州でユダヤ人がどういうイメージを持たれていたのかの証言にもなっている。ただ、なぜ、そういう否定的なイメージができたのか、そうなった社会的条件に関する洞察は、残念ながら、ケインズの文章からはうかがわれない。ある意味で、アプリオリに現実を同定してしまい、生成するものとして捉えきれていない点は、ケインズの限界なのかもしれない。
ワシントンポストなどが、きのう、報道しているが、ソレイマニを暗殺したその夜、米軍はイエメンで活動中だったイランの革命防衛隊コッズ隊の別の司令官を暗殺しようと企てた。この司令官はアブドゥル・レザ・シャライ司令官で、暗殺は失敗に終わった。しかし、別のイランの工作員が殺害されている。つまり、ソレイマニだけ狙ったのではなく、二人のコッズ隊の司令官をほぼ同時に殺害しようとしていたのである。米国の殺害理由は「米国に差し迫った脅威」が存在するから、というものであるが、イエメンの米国大使館のスタッフは2013年に避難している。米国人はイエメンには恐らく残っていない。現在はイエメンのアラビア半島で米軍によるドローンを使用したアルカイダ攻撃が行われている。どこにも差し迫った脅威はない。
国連憲章第51条に基づき、武力行使を行った米国とイランが国連事務総長にあてた正式のレターを読むと、ここ数ヶ月間の攻撃と報復の連鎖の中で、米軍がソレイマニを殺害したように読める。しかし、その日の夜に行われたイエメンの司令官暗殺未遂および工作員殺害事件については触れていない。このレターでは、米国は、延々と、昨年からの自己の被害状況を語っている。被害者として自己をアピールしているが、加害者として自国には触れようとはしない。加害は報復という文脈にすべて回収されている。やられたからやったの繰り返しで自分は悪くない、自己防衛権だというわけである。しかし、そもそも、なぜ、中東に米軍が存在しているのか。そもそも、なぜイラクに、イエメンに米軍が存在しているのか。
2日の米軍による同時攻撃は、革命防衛隊の壊滅、あるいは相当なダメージが目的だったのではないか。イランの「報復」が無人の米軍基地への弾道ミサイル攻撃だったことを想起すると、この米軍の「報復」がいかに、残虐で周到で計画的な意図を持ったものかがわかる。中東の構造が変わらないとすると、イラン革命防衛隊壊滅という米軍の目的も、簡単に変更するようには思えず―この米軍の目的がはっきりした以上、親イランのヒズボラやフーシ―派の活動が活発化して、今後も二重に危険な状況が続くのではないだろうか。とくに、ウクライナ航空機撃墜によって、イラン国内の反政府運動が高じれば、CIAが政権転覆を画策し、親米傀儡政権の樹立ということもありえないシナリオではないだろう。
午後は、図書館の学習室で資料を読み込み、夕方、娘に頼まれた買い物をして帰宅。夜はニコの仕事をした。
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I will never apologize for the United States – I don't care what the facts are.
2020-01-11 / 日記

ART WORK BY ROMIE LIE
■5時半起床。朝日新聞の朝刊と週刊文春2020年1月16日号を熟読する。エズラ・ヴォーゲルの中国論がとても面白かった。香港情勢の経済的な分析や、鄧小平と習近平の比較など。スレイマニ司令官について調べる。文献をいくつかピックアップ。ニコの参考文献で気になる雑誌記事をプリントアウト。高等教育クロニクルに出た「Why Violence Works」という論文。午後、寿広場で運動と瞑想を行う。慌ただしい毎日の中で瞑想などで無心になることの重要性をますます感じる。帰りに、ファイルと雑誌を買って帰宅。家人とお茶を飲んで一休みしてから、夕食を作る。夜は、ケインズ全集第10巻の「人間ニュートン」の項を読む。大変面白い。錬金術師だったことは少しは知っていたが、ケインズの文章で、ニュートンは神智学を実践していたことを知った。神智学とはケインズは言っていないが、イスラーム哲学の哲学の方法に近いものを感じた。近代科学の祖としては、ふさわしからぬ実像なので、ずいぶん、秘匿されてきたようだ。イランがウクライナ航空の民間航空機撃墜を誤射によるものと認めて謝罪した。米国との緊張の中で起きたあってはならない大きな悲劇だが、自分の非を国家として認め謝罪したことは評価できるのではないか。次の文章は、あるジャーナリストが、SNSに書き込んだものである。
NEVER FORGET
Over three decades ago, in 1989, the USS Vincennes shot down Iran Air Flight 655, killing 290 people, including a lot of children.
The U.S. government DENIED ANY CULPABILITY.
Daddy Bush, who was VP at the time: "I will never apologize for the United States – I don't care what the facts are."
1989年に、米国海軍のミサイル巡洋艦ヴィンセンスが、イランの民間航空機655便を謝って撃墜したという記事である。死者は大勢の子どもを含む290名。このとき、米国政府は、いかなる責任も認めなかった。当時、副大統領だったブッシュ(父)の発言はこうである。「私は米国が行ったことを謝罪する気は一切ない。事実がどうあれ関係ない」
ここに、当時の米国の行動とブッシュ副大統領の言葉を持ち出したのは、イランの行動と対比させることが一つの目的だが、もうひとつは、こういう情報や生の副大統領の当時の言葉が、我々の耳に届きにくいのはなぜなのか? ということなのである。これは、日米安保条約体制という、ただの一つの条約ではない、夥しい国内法や省令や密約からなり、日本国憲法の上位に意思決定機関まで備えた一つの全体的な社会システムが戦後続いてきたことを示しているのではないだろうか。その社会システムは、今や、不可視と言っていいほど、我々の生活の中に「偏在」し、我々の行動や意識の方向づけを行っていると思えるのである。一つの体制は、必ず、成員に対して「操作性」を帯びる。ちょうど、原発体制がそうであるように、である。この問題は、無意識レベルまで規定しているので、この操作から自由になっている人は、ほんのひと握りではないだろうか。
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NO TRUMPED UP WAR
2020-01-10 / 日記

ART WORK BY ROMIE LIE
■8時起床、ロミーがアートワークスを送ってくれたので、それにインスパイアされた俳句を作り、礼状とともに送った。午前中は、ニコの仕事に専念。午後から夜、六本木の仕事、夜、それに一段落つけて、ふたたびニコの仕事を行う。俳句、複数作る。きょうのHaaretzで「NO TRUMPED UP WAR」というワシントンの反戦デモのプラカを写真を見て、新しい言葉ができたかと思って調べたら、TRUMP UPで「捏造する、でっちあげる」というイディオムだった。当然、TRUMPに掛けたものだろう。しゃれている。しかも、米国のはじめる戦争の本質を言い当てていて、感心した。夜、段ボールの資源ごみを出しに行く。夜が暖かくて驚いた。明日は満月である。夜寝る前に、文春の2020年1月16日号の「ゴーン逃亡全真相」を読む。驚異的に面白くて時間の経つのを忘れた。この一連の事件はまだ終わっていないが、映画化すべきである。
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the crisis game
2020-01-09 / 日記

■いったん、5時に目が覚めてウェブチェックして、トランプが反撃しないことを知り少し安心する。10時半に起きてウェブチェック。イランによるミサイル攻撃直後にスイスを通じてイランからトランプ政権へ書簡が送られ米国がイランに反撃しなければイランは対米攻撃を継続しないと述べたと共同通信が伝えていた。イランの米軍基地攻撃はかなり正確で、攻撃直後、トランプが上げた奇声は、それなりに根拠があったようだ。イランは意図的に人的被害が出ないように攻撃したという見方が強まっている。米軍の犠牲者は出なかったという米側の発表は本当だったのかもしれない。イランが死者、テロリスト80人と発表したのは、まさに、親イラン派のテロ組織向けてで、報復が行われなければ、これらの組織が自前でテロ攻撃に出る可能性があったためという見方も出ている。では、そもそも、なぜ、トランプは、こんな危険な一手を選んだのか。理由は一つではないだろう。イランは、ロシア製の対空システムS300をすでに実戦配備している。このシステムの命中率は85%から90%である。つまり、米軍の地上軍がテヘランへ侵攻するときに、上空支援が期待できないということを意味する。そうなると、相当な犠牲が強いられる。さらに、イランは、米国のアキレス腱であるイスラエルに対して弾道ミサイル攻撃を行うことができる。イスラエルや米国は核攻撃が可能だが、地理的に近いロシアの支援をイランは受けることになり、世界戦争の様相を呈する。つまり、いったん本格的な開戦になれば、どちらにとっても、いや、世界にとって、大変な犠牲と破壊を伴う。この点は、トランプもハメネイも、十二分に承知している。その意味で、非常に危うい均衡の上に立っている。
では、なぜ、こんな危ういスレイマニ暗殺という選択肢を採ったのか、あるいは、採れたのか。「スレイマニ」という「テロリストの親玉」を創り出し、オバマ大統領によるビンラディン暗殺のように、一つの自分の功績とするためだったというのが一つの仮説である。下院で弾劾訴追されイメージが非常に悪くなり上院の弾劾裁判開始直前での、この「大テロリスト」の暗殺は、たしかに汚名挽回の効果もあるだろう。もう一つの仮説は、さらに面白い。この事件、初めから終わりまでやらせだったというものである。この仮説は、あるブラジルのジャーナリストが、米国政権の高官からの機密情報として伝えたものをベースにしている。それによると、トランプはイラクから撤退したがっている。それは、駐留経費の問題だろう。しかし、撤退すれば、イスラエルの安全がイランに脅かされる。イランにしてみれば、イラクから米軍が撤退することは悲願と言っていいほどの望ましい事態である。つまり、イラクからの米軍撤退では、イランと米国は共通の利益を有する。困るのはイスラエルだけだ。トランプはユダヤロビーやシオニスト、さらには、右派福音派の支持と資金が再選には必須である。したがって、自分からイラクを撤退することはできない。撤退せざるをえない状況を作らなければならない。それが、このスレイマニ暗殺事件だったという仮説である。現に、イラク国会は米軍に撤退要請を出している。さらに、奇妙なことに、米政権内部から、あたかも、準備されていたかのように、撤退合意文書が流出したことである。この世界大戦に繋がりかねない危ない橋をトランプが渡れたのは、イランと話を事前につけていたからと考えれば納得できる。スレイマニはハメネイとロウハニに間接的に暗殺されたとも言えることになる。この仮説が荒唐無稽ともあながち言えないのは、このブラジル人ジャーナリストの伝える米政府高官の次の言葉だ。イラクの米軍基地内で高度警戒態勢に入っていたはずのパトリオットシステムが稼働したという報告を受けていない。つまり、米軍の手によってパトリオットシステムはあらかじめ切られていたのではないか。イランが攻撃に使用したのは弾道ミサイルであり、レーダースクリーンの下を地表すれすれに飛ぶHoveizeh cruise missileではない。
いずれにしても、「再選」というのは、一つの大きなキイワードであり、やらせだったというのが、本当かどうかは、イラクから米軍が撤退するかどうか、また、イランへの米国の追加経済制裁の内容はどうかで、判断できるのではないだろうか。
洗濯して干してから夕方買い出しに行き、鍋用の野菜を切るのを手伝った。人参、葱、春菊、白菜など。夜、ニコの仕事。
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暴力か民主主義か
2020-01-08 / 日記

■8時起床。朝、埼玉は霧雨が降っていた。きょうは朝から一日、家人に付き添って、千葉大病院へ。千葉は、昼頃、大雨だった。東京駅まで出て特急「しおさい」で千葉へ。往きは、車中でケインズ全集第10巻の「トロツキーの『イギリス論』」を読み、待ち時間や帰りは、Batesonの"Double Bind, 1969"を集中的に読む。大変面白かった。とくに、ケインズがトロツキーをどう観ていたか、また、マルクスをどう観ていたか、その一端がうかがわれる。ケインズのマルクス理解は、おそらくは、スターリンによる解釈を経由したもので、存在論的な理解はなされていない。その点でこの当時の誤解を踏襲しているのではないかと思えた。トロツキーに対する見方は―トロツキー自身のイギリス社会論、とくに労働党やフェビアン協会への批判は、英国文化のempathyの偽善性と欺瞞性を突いた大変に本質的で説得的なものなのだが、ケインズは英国人であるので、その点への感度が鈍い―ケインズのトロツキー理解は、「暴力」をキーワードにしたもので、現在にも通じるアクチュアルな射程を秘めていると思えた。「暴力はなにごとも解決しない」というケインズの言葉は、反戦平和を語る者が、革命戦争の暴力は肯定する現代の欺瞞にも通じる、そして自己の利益から資本主義的な暴力を肯定する者への批判ともなりえるだろう。「トロツキーは手段のことに夢中になって、それがなんのためのものなのかを教えない」といった言葉や「どんな計画もそれがまず多数の人々を確信させないうちは成功しない」という言葉など、実に示唆に富んでいる。トロツキーとケインズを「革命か改革か」といった図式で語るよりも、「暴力か民主主義か」あるいは「根源性か有用性か」といった文脈で語る方が豊かな気はする。もっとも、後者は、対立はしていない。根源的なものほど実用的だからである。Batesonの"Double Bind, 1969"については、話すと長くなるのでやめるが、ケンブリッジで植物学者の息子として生物学を学び人類学を経由して、独自の思想を編み出したこの巨人は、ヴィトゲンシュタインとは違ったやり方で、「言葉」の持つ問題に迫っている。ルカーチを読むときに、片側に置いて、常に彼の視線を浴びている必要があると感じさせる、そういうアクチュアルで重要な人だという確信を深めた。千葉から帰宅後、ただちに、夕食の準備を行う。
家を出る間際、イランがイラクのアルビルとアルアサドの米軍基地に攻撃を行ったとの報が流れた。十数発の弾道ミサイルによる攻撃だった。電車に乗っていた9時半すぎに、第2波の攻撃をtwitterで知った。大変な事態になった。米国は、被害を発表していない。イラン国営テレビは80人が死亡と発表している。イランのザリフ外相やロウハニ大統領が、イランの攻撃と今後の方針をtweetsをしているが、大変説得力のあるものだった。米国の欺瞞は、国連本部で開かれる国連安保理事会の公開討論に出席するためにザリフ外相が申請したビザを米国政府が拒否した点にもっともよく出ている。民主国家をいやしくも標榜する米国が、他国の発言の機会を理由なく奪うことが、何を意味するか、一目瞭然であろう。イランに国際社会にアピールしてもらっては困るからである。国際法を踏みにじっただけでなく国連とのビザ発給合意も平然と自己都合で踏みにじる。この国の言う民主主義は、political and corporate interestsのためのイデオロギー的な手段に過ぎないことがよく現れている。日米安保イデオロギーの枠内でしか、世界を観ることのできない「ジャーナリスト」や「知識人」たちが、米国のスタンスに自己同一化し、自衛隊の中東派遣を正当する中で、きわめてすぐれた声明が、元米兵たちの反戦平和団体、ベテランズ フォー ピース ( Veterans For Peace)から出された。きょう、もっとも感銘した言葉である。
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🔵ベテランズフォーピース米本部から イラン開戦No!声明🔵
元米兵たちの心からの叫び、日本語でお届けします!
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「ベテランズフォーピースは、アメリカのイランに対する、あらゆる、そして全ての侵略行為に抗議する」
米政権による最近の一方的な行動、つまり、イランのソレイマニ司令官の暗殺によって、私たちは、今、戦争となるかどうかの瀬戸際に立たされている。
これは、最近のイランに対する一連の攻撃の一つである。
トランプはエスパー国防長官やポンペオ国務長官のような好戦論者ばかりを政権の中枢に置き、これまで順調であったイラン核合意から離脱、中東に数千の軍隊を追加派遣する「最大限の圧力」政策をとって、厳しい経済制裁をイランに加えてきた。
しかし、イランとの戦争は、この地域における更なる流血だけでなく、新たな、終わりなき戦争の始まりとなるだろう。先月明らかになったアフガニスタン・ペーパー(米政府の対アフガニスタン政策の内部文書)などを見ても、米国は、このような紛争地域において、何の戦略もなく責任も果たさず、ただ、混沌、混乱そして暴力を引き起こしただけだった。
イランには8000万もの罪なき人々がいて、そのほとんどが戦争を望まず、自国政府の行動にも反対している。イラクにも、米国による破壊的な戦争から復興し平和に生きる権利を持つ3800万もの人々がいる。これら両国の人々は、自らの政府によって正義が実現できるよう長い間努力してきた。米政府の行動は、これらの努力を踏みにじるだけである。
さらに、我々VFPは、米国が、イラクにおいてイランに関連する攻撃目標を拡大してきたことを非難する。イラク議会は、イラクから全ての米軍を撤去させることを決議した。もし米国がこの決議を尊重せず、部隊を撤退させないならば、2003年以来の戦いの意義としてきた「イラクの民主的主権」を侵害することに他ならず、米国のイラク駐留は、ただ自身の植民地的及び経済的利益が目的だったということになる。
トランプ政権の行為は、国際法のみならず、議会だけに開戦する権限を与えているアメリカ合衆国憲法に明らかに違反している。加えて、イランの文化的施設を攻撃すると脅し、イランの国連代表団の入国を拒否するという点でも、国際基準及び合意を無視している。
これまでも違法な戦争に従軍させられてきた我々元兵士は、危険で悲惨な戦争が何をもたらすか嫌というほど知っている。そして、これにより利益を受けるのは防衛関連企業だけだということも。
VFPは、これ以上の、嘘も、罪なき人々を虐殺することも、天然資源の無駄遣いも、そして私たちの兵士が死んだり、傷ついたりすることにも、我慢ができない。
私たちは、イランとイラクの人々と共に、戦争ではなく、平和を望む!
2020年1月7日
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すずしろ
2020-01-07 / 日記

■途中覚醒なしで9時間半眠れた。終日、六本木の仕事。一か所、どうしてもわからない。午後2時すぎから冬の雨。一時激しく降った。アグロエコロジーについて調べた。日が落ちてからかなり寒くなった。夕方、急な買い物に出て段差解消のための鉄板に滑った。冬の鉄。きょうは、七草粥だった。七草粥に使用する大根は、昔の呼び名で「すずしろ」と言われるが、使用する種類はかなり小さい。それが昔の大根なのかどうかはわからない。
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戦争と自殺
2020-01-06 / 日記

■きょうは天気が良かった。朝起きて即、仕事に入る。イラン情勢をウェブチェック。米国人が立ち上げた戦争反対のサイトに署名。トランプ再選のために第三次世界大戦などとんでもないことだ。朝食後、掃除をして、昼頃、家人と寿広場へ運動に行く。ウォーキングとスロージョギングに加えて、脚の速筋・遅筋のトレーニングを行う。目標は、連続10回だが、今は、5回でインターバルを入れてさらに5回をなんとかクリアする感じだ。毎日やらないと、筋肉は落ちるばかり。帰宅後、ふたたび仕事に向かう。夕方、テヘランの巨大な葬列の動画をtwitterで観た。ハメネイの弔辞の動画をtwitterで観た。泣いていた。夜も仕事を行う。三宅雪子元衆議院議員が自殺した。「自殺」という言葉を聞くと、ドキッとする。シオランは自殺には、なにがしか鮮烈な印象を与えるものがあると述べているが、それは、距離のある人間にとっての話である。同居していた叔父と小さい頃から一緒に遊んだ従兄を自殺で亡くした身にとって、「自殺」は足元の大地が崩れ落ちる不安である。自殺とは私も含む社会による殺人にほかならない。
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