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グー・チョキ・パー国防論~2

2009年10月27日 13時30分59秒 | 防衛問題
新たに書かれたみたいなので、急遽書くことにした。

はてなブックマーク - なぜ日本に戦車が必要か?part2 日本の地形と戦車 - リアリズムと防衛を学ぶ


この前の続きです。

コレ>グー・チョキ・パー国防論


きっと何か画期的な説明が付けられるのではないかと思って期待してみたが、全然そんなことはなかった。何とか板、みたいなのにある「まとめ」的なものの域を出ていないのではないかな、とは思ったよ、見たことないけど。

一体何を解説しているかというと、端的に言えば「戦車は歩兵に勝てる」みたいなもんだな。要するに、グーはチョキに勝てる、という解説だけ。

そりゃあ、生身の歩兵よりは戦車の方が頑丈なんじゃないか?
一切役に立たない、なんてことは言ってないことが多いんじゃないかと思うけど。


いくつかの代表的意見について考えてみるよ。

①日本が戦車を配備しているだけで相手側の侵攻コストを上げる

その効果がどの程度なのか疑問だ、というのが当方の意見である。前回も書いたが、日本に戦車があってもなくても侵攻側が戦車を持ってくる、ということであるなら、相手側の侵攻コストは同じ。持ってくる量が変わる、ということはあるかもしれないが、それがどの程度の違いを生むのか、ということだな。

侵攻側の上陸作戦コストに比べて微々たる影響力しか持たない場合には、必須と考えるのは疑問である。
防衛側の歩兵戦力(=チョキ)に対抗する、ということで戦車(=グー)を用意するということであるなら、こっちに歩兵戦力(チョキ)がある限り持ってくる、ということだ。なので、侵攻側コストを上げるということには貢献しない、ということになる。


②戦車は歩兵の盾としての役割がある

「歩兵の盾」が敵の何に対してなのか、ということがあるだろう。主として敵の歩兵戦力からの攻撃に対して、盾の能力を必要とする、という場合であると、歩兵携行兵器に対抗できる程度の盾であればよい、ということになるので、例えば小銃弾や機関銃弾に耐えられる性能であればよい、ということになる。仮に、12.7mm機関銃程度の耐弾性を有していればよい、という程度であれば、装輪装甲車でも可能ではある。価格の問題はあると思うが、戦車ほどの値段にならないのであれば車両数を多く配備できるので、むしろ「盾の数」は増加させることが可能になる。これが有効ではないという場面は、これ以上の攻撃力を相手側が有している場合、ということになるが、その可能性はどれくらいあるか、ということである。

心理的な要因、という意見もあるようだが、自衛隊内の教育によって意識改革に取り組めばいいんじゃないのかな(笑)。敵側に戦車+歩兵で侵攻してくる可能性よりも非対称戦を主に考えるということであれば、なおのこと戦車よりも装甲車で数を補う方が有利であると考えるのが妥当ではないか。


③イラク戦争やグルジア紛争の防御側戦車はどうなったか

イラクもグルジア軍も戦車を持っていたが、結果的には航空支援のない戦車は敵側の航空機や誘導兵器の餌食にされたり、使えなくなったか乗り捨てで置き去りにされたみたいですけど。

稜線射撃云々という話も、侵攻側に航空支援が十分であると、主砲の威力を発揮する以前に航空機に攻撃されるのではないか。「戦車は○○ができる」という話って、別に保有の正当化の為にはあんまり役立たないと思うけど。そんなこと言うなら、「対戦車ミサイルは曲がることができる」というので十分、みたいな理屈になってしまうよ。

トーチカだか塹壕だか固定砲台化して使うというのも、最後の一兵まで立て籠もって戦う、というのであれば、まあやってみるという人がいるのかもしれませんが、本当にやるんでしょうか。現代版の硫黄島、ですか。日本全土で?
湾岸戦争のイラク軍戦車は、その多くが多国籍軍戦車と対決する以前に撃破されたらしい。埋めてもダメなものはダメだった、ということではないかな。

防御側が戦車を配備していても、それが単に「破壊目標とされる」ということ以上の効果があまり判りませんな。これが、戦車ではなく装甲車両であったならどう違うのでしょうか?大きく違わない場合であると、安上がりな装甲車両で済ます、というのは、選択肢として十分考えられるように思えます。


④将来性はどうなのか

日本は、少子高齢化が進展するのであるから、若年層の数というのは貴重になってくるわけである。そうすると、方向性としては、自衛隊員の「長寿化」を必要とする、ということになるだろう。また、隊員の確保は過去に比べて、一層困難が増す可能性は高くなるだろう、ということだ。

簡単に言うと、以前なら若い20代の隊員を順繰り入れ替えて隊の精強さを維持してきた、ということになるが、将来的には一人の隊員の錬度を上げて長期間任務に従事できるように考える必要がある、ということだ。20代の数年で除隊、というようなことではなく、50代まで従事してくれ、という方向に行く、ということである。
しかし、肉体的には50代なのだから、以前の20代の隊員と同じ働きを求めるのは困難になる。そこで、やはり戦闘の無人化・誘導化・ロボット化という方向へと進むだろう。器械操作や誘導といった任務であると、自分の肉体を直接的に酷使する必要性がなくなるので、熟練が活かせるし年齢の壁をある程度カバーすることが可能になるだろう。

そうなると、兵器の小型化や無人化が進むから、戦場での兵士の死亡はかなり少なくなってゆくだろう。特に侵攻側ではなく、防御側というのは無人化には向いていると思うのである。国内のインフラを防御側が利用できるからだ。

そういう点から考えても、衛星や小型偵察機、誘導技術、映像・画像とコンピュータとの連動、強力な通信技術、などの重要性が高まり、人的被害最小化を考えるなら無人化が促進されてゆくのではないか。主力は誘導兵器ということになるだろう。運搬体は、別に戦車じゃなくてもいい、ということだ。侵攻側にはもっと特殊な事情があるので(相手側の装備によるので)、すぐには廃れてはいかないだろうと思うけれども、大艦巨砲主義が消えていったようにいずれ必要度は大幅に低下してゆくだろう、と考えている。


今となっては、騎兵隊だって廃れたし、銃剣突撃だって行われてないよ。
戦車戦そのものがかなり少ないというのが現代戦ではないか。いや、ゼロじゃないけど。その「極めて少ないもの」に多額の費用をかけようという発想が、どうにも理解できんのだな。



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