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返済猶予法案は不良債権の移転を可能にする?

2009年10月10日 16時29分01秒 | 経済関連
骨子が固まった、とかいう報道が流れたりしていたが、このままで行くと壮大な「ゴミ捨て場」と化す可能性があるのではないか。国が金融機関の持つ不良債権を肩代わりする破目になるかもしれない。

本当に、銀行等の金融機関が善人である、というような前提で法案を作っているのかもしれないが、それは大きな落とし穴となる可能性があるだろう。制度を都合よく利用しようと思えば、可能だからだ。
銀行って言ったって、日本振興銀行みたいな銀行もあれば、新生銀行やあおぞら銀行といったような銀行もあるわけだから、用心に用心を重ねないと、どんな手を使ってくるか分かったものではないからね(笑)。


元々、返済に窮するような借り手がいるとする。延滞債権とかになっていたような、まあ、銀行にとっては「問題債権」とか「不良債権」というような認識の借り手ということ。この借り手に「返済猶予」を申請させて、銀行がこれを認めれば、保証協会の保証が取れるから銀行は回収見込みが立つことになるわけである。そうすると、銀行はいくらでも猶予を認めたいということになるだろう。だって、元々放っておくと焦げ付きとなりそうだった債権が、たった3年猶予するだけで国の保証付きに早代わりすることになるからだ。これはもう、おいしい、という商売になってしまうわけである。銀行に溜まりに溜まっていた、問題債権を一気に片をつけることさえ目論める、ということになってしまうわけである。

・銀行のゴミを集めてきて、返済猶予対象に回す
→問題のある債権だったものが、3年後には破綻させて国から補填を受ける
→ウマー

銀行の損失なし、借り手にしたって、どうせ倒れるのであれば、全てチャラにしてもらった方がいい。
そうなると、国に問題債権をまんまと買い取らせるのと同じ効果を生むというわけであるから、そういう処理をすることを防げるとも思えないのだけど。こうなると、銀行にやられ放題で、税金でこれを補填してやる、ということになってしまい、銀行は丸儲け。


保証協会がこういう銀行貸出を見破れるか、ということになるが、かなり難しいのではないか。銀行審査以上に厳しくしなければならない、ということになるし、そうなると実質的に利用制限が起こってしまう。制度を作る意味がない。
猶予が仮に50万件(中小企業の約12%)、うち、完全に貸倒に至るのが5%水準としても25000件の処理が必要となる。これを政府が保証するということになれば、平均で各1億円の補填額だとしても2兆5千億円の処理費用を税金で負担することになってしまうわけである。銀行等の金融機関は、ここぞとばかりに不良債権の肩代わりをさせる為に、意図的にこちらに振り替えるかもしれない。そうなると、これら2兆5千億円は銀行へのプレゼントということになってしまうわけである。

銀行などが何故反対しなくなったか、というのは、こうした裏事情が即頭に思い浮かんだから、ということなのではないのか?
そういう「オイシイ話」であれば、そりゃあ、誰だって反対したりはしないわな。こっそりほくそえんでいるかも(笑)。

3年後に破綻処理に回される件数とか金額が、ある水準を超えて多い場合には、金融機関にペナルティを課すということにでもしなけりゃ、ダメなんじゃないの?

例えば、返済猶予適用件数(又は額)のうち、破綻処理で保証協会等からの補填を受ける率が、全金融機関データよりも1SDを超えて多い金融機関には、超過分を全て請求する、とか。
1000件(1000億円)適用、このうち破綻処理移行分が200件(200億円)、金融機関データの分布範囲から偏って超過している部分が100件(100億円)あるなら、100億円までは補填してあげるけれども、残りの部分については金融機関の自己責任つまり自分たちで処理してくれ、ということ。

金融機関ごとの違いが少なくて、平均的な分布からの偏りが小さい場合には、ほぼ標準偏差内に留まるため、審査が極端に杜撰だったということではないかもしれない、と判断することにする、というようなことだな。これは他の金融機関の破綻処理率がどういう範囲になっているか、というのが基準になるので、経済環境が極めて厳しい、などの理由で結果的に破綻処理になってしまう割合が高まることも有り得るが、そういう場合に破綻処理率が上がったからといって全てが金融機関のせいではないというのが結果に反映されるのではないかな。

ある銀行が意図的に制度を悪用して破綻件数を増加させたりすると、他の金融機関の破綻処理率より飛びぬけて高い、ということで、区別がつくのではないのかな、と。意図せざる場合であっても、審査のレベルが低いということもあるので、それもやはり「責任は銀行にもありますよね」という意味で、補填を部分的にカットすることができるわけである。標準的な範囲に留まりさえすればいいので、金融機関の努力が必要となり、そうすると悪用はかなり防げるかもしれない。ただ、破綻処理率を「横並び」でそろえようとする可能性があるので、言ってみれば金融機関同士の談合みたいなことは有り得る。銀行協会とか、信金の協会みたいな団体などで、各金融機関の数字を拾ってくれば出来てしまうからね。そこまで防げるかといわれると何とも言えないが、ある程度は金融機関側を信じるしかない。


いずれにせよ、金融機関側が何も言わない、という時には、何かあるだろうね、ということは考えておいた方がいいと思うよ。

世の中、一筋縄ではいかないことの方が多いからね(笑)。