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感染症検査のこと

2009年03月09日 16時38分43秒 | 法と医療
原則論から言えば、確かに同意は必要、ということなんだろうけど。

無断でHIV検査川崎の総合新川橋病院(カナロコ) - Yahooニュース

(一部引用)

白内障などの手術の前に医師が患者に説明する同意書には、HIVを含む感染症の検査を実施し、HIV検査は自己負担を求める旨が記されていた。しかし、実際は患者が同意書にサインする前に、採取されていた患者の血液がHIV検査に回されていた疑いがある。厚労省関東信越厚生局は事実関係を把握しているもようだ。

関係者に対する取材では、同局神奈川事務所が二〇〇八年十二月、健康保険法に基づく立ち入り調査を実施し、HIV検査費を「保険外材料」の名目で患者に負担させていた点を過大請求と指摘したとみられる。同病院に対して少なくとも、カルテの保存期間の五年間を自主点検して該当する患者に返金するよう指導した。同事務所は「HIV検査は患者の同意が不可欠であり、院内感染を防ぐ名目で半ば強制的に患者に行われていたとするならば、指導の対象となる」と話している。

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いや、患者の権利を守れってのは大事だよ、そりゃ。
だけど、もし決定権を委ねるなら「自己責任」を重くする、ってことなんだからね。そういうことが本当に判ってるのかな。しかも、普通の説明をして十分理解できない場合でも、後出しで「そんな不利益があるとは聞いてない」「言ってなかった、知らなかった」とか言われるんだよね。そういう説明がいちいち無駄なわけさ。そういう内容については、来る以前に十分予習してきてもらうか、判らないならそれなりにお任せ部分を増やすとか、そういうことをやらないと「高コスト」になってしまうんだわ。

説明して納得してもらい同意を得る、というのは、実際のところ、医学に関する授業をやっているようなものですので。それも個別授業ということですね。普通であると、家庭教師だって学校の授業や塾の時間単価よりも高いはずなのに、医療に関しては「納得できるまで、理解できるまでレクチャーをやってくれ」というシステムになっている、ということですね。

そんな無駄なコストをかけるくらいなら、一様にスクリーニングをかけて検査結果を出してしまった方がいいよね、ということはある。検査そのものに「何の意味もない」というものでもないから。


大体、C型肝炎で「薬害だ」と騒いでいた時なんて、「検査方法がなかった時代」にでさえ「肝炎を防げ」とか言われていたじゃないの。検査方法が90年以降に出て、そうしたら「なんで検査しないんだ」とか言うし。術前スクリーニングでは、「HCV検査は保険では(原則)認めない」と厚生省が言っていて、じゃあ「患者の自己申告だけでいいのか」ってことで、感染があっても発見が遅れるだけですね、って話でしょう。実際、「今まで全然気付かなかった」というHCV感染者は大勢いたわけで、スクリーニングしなけりゃ発見のしようがないでしょう。感染拡散を防ぐ為にスクリーニングをやったら「認めない」と厚生省に言われ、一方では患者サイドで「何故検査しなかったんだ、発見できたはずだ、過失だ」と事後的に責められ、全てに渡って「患者の同意を得ろ」とか言われてしまう、と。
言う側は、簡単。だって、どんな状況にだって文句のつけようがあるから。

ま、HIVは肝炎の検査とは違うよ、とか言うかもしれんけど。
昔だと、普通に「既往歴なし、問診でも何もなし」とかいう人でも、「ワ氏(+)」(*)とかいくらでもあって、珍しくも何ともなくて、そういうのも「あなたが梅毒かどうかを検査しますが、よろしいですか?」とか、誰も言えなかったわけで。

(*):ワ氏というのは、ワッセルマンさんというドイツ人のことで、梅毒検査に付けられた名前だっただけだけど。概ねHBV検査や梅毒関連の術前検査は行われていることが多いかったのではないかと思われ、HCVの検査登場後には、やはりスクリーニング項目は増えたであろう、きっと。


MRSAの院内感染が騒がれた時だって、一般人が陽性者なんて普通にいるし、そういうのを検査する目的を全て事前説明していたなんてことはなかったんじゃないでしょうかね。あなたがメチシリン耐性黄色ブドウ球菌に感染している虞があり、他の患者さんにうつってしまう危険性があるので、検査したいと思いますが、よろしいでしょうか、なんてことを言い出すのは難しい場合もあるわけで。同意を得られない場合、どうやってうまく説得しますかね?
「病気一つない、と答えたのに、オレを疑うってのか!」とか「バイキンみたいに扱う気か!」とか「遊び人だったから梅毒だと疑ってるんだろ!」とか「酷い、私のことヤリ○○だと思ってるんでしょ」とか、面倒が増えるだけなんですけど。


指紋押捺問題みたいなのも、アメリカみたいに「入国する人は全部取ります」って機械的にやってしまうかと思えば、「人権侵害だ、外国人差別だ」とか言い始まるといくらでも面倒を増やせるわけでして。拒否だ、ってね。差別なし、ってのは、「機械的に実施してしまう」とみんな平等に一様にできるわけで。そういう場合には、説明がなかった云々って問題になるんですかね?
献血したら一様に「HIV検査」は自動的に行われてますけど。梅毒も、肝炎も、勿論、全部含まれますけど。


・検査をやったらやったで文句が出る―聞いてないぜ!知らなかったぜ!同意してないぜ!
・やらずに万が一問題が発生すれば―職務怠慢だぜ!どうして判らなかったんだ!検査できたのに!

どっちにしても医療側がとっちめられるんですよ。しかも、オール事後的に。
検査できたはずだ、できたのにしなかったので過失だ、という理屈で、裁判にかけられ、ぶん殴られる、と。

ああ、HIV陽性者の場合、眼症状ってのは割りと頻繁(←ハンザツじゃないよ、笑)に見られますから、一応。感染が明らかになっていない人でも、そうですから。専門家じゃないから、詳しくは知らないけど。
必ずしも全部にHIV検査が必要だ、とまでは言わないけれど、スクリーニングで発見されることはあるから、ここ数年の感染者増大傾向を知っていれば、「用心するにこしたことはない」と考える場合がないとまでは言えないと思いますけど。


前にも辛辣な例で書いたことがあるけど、電話帳みたいに分厚い説明書&解説書に全て書いておいて、「読んで同意した人だけ診察しますので、拒否したい人は診ません」という制度にしておけばいいんじゃないか。指紋を拒否したい人は「入国できません」っていうのと、同じだもの。人権侵害だ、とか言い出す人は、はじめから入国しなければ済むもの。それと同じで、理解できない&納得できない人たちには「どこか納得できる医療機関」に行ってもらうしかないんじゃないか。

全部を理解させ、同意を得るなんてことは無理だ。
そういう発想には、限界がある。それを達成したいのなら、それ相応の「対価を払う」というのが必要。高度な個人授業を「誰もが激安で受けられる」という制度そのものに問題があるのだよ。



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