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健保組合は公平なのか?

2010年04月08日 12時45分59秒 | 社会保障問題
健保組合では、医療費が一律であるということについて、どう考えているのか知らないが、値段を平等に、ということは、支払う側の負担も当然そうするべきだろう。

では、今の健康保険制度は平等なのか?
健保組合の方からは、「国保組合が補助金をもらってずるいぞ」とか、「後期高齢者医療費の負担を肩代わりするのはおかしいぞ」とか言うわけだが、それは、ヨソの批判だけであって、健保組合が公平かどうかについて立証できるものではない。
当方の主張というものは、「じゃあ、平等になるように、負担率も揃えましょう、運営方法も最も効率的な健保組合さんのやり方にしましょう」って提案をしているにも関わらず、健保組合連合会ではそれを拒否してるんだろう。

しかも、訴えるのは姑息な大衆煽動のような主張なのだ。
具体的には「サラリーマンの保険料率が値上がりする!!それでもいいんですか!」という類のものだ。まるで、米国の公的医療保険導入に反対していた人々と一緒なのである。「低所得者層の為に、我々の保険料が値上がりするのは許せない、絶対反対!」ということですな。

つまり、健保組合連合会の方で散々言い募る医療の平等って、実は都合のよい使い分け、ということでしょう。それは、自分たちの既得権益だけは守りたい、という抵抗勢力ですよ。



二言目には、健保組合は赤字だ、赤字だ、ということを殊更強調して言うわけだが、その解決方法をご提案しよう。

ファイル:数字・言葉・経済 健保連が10年度予算 過去最大の赤字見通し - 毎日jp(毎日新聞)
(一部引用)

報告のあった1313組合(回答率89.8%)の回答から全体値を推計した。それによると、平均保険料率は7.43%から7.62%に上がったものの、給与やボーナスが減ったことなどから保険料収入は前年度比829億円減の6兆145億円だった。

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さて、この記事から判ることは何か?
健保組合の平均の保険料率は『7.62%』だ、ということ。これは、高いか安いか、といえば、「安い」わけである。前から書いている通りだ。

健保組合は医療保険制度上で圧倒的に有利


では、同じサラリーマンでも、「協会けんぽ」であるとどうなのか?
8.2%だった保険料率は、9.34%に大幅引き上げである。健保組合は僅か7.62%で済んでいた(*)のに、だ。仮に、健保組合が協会けんぽと同じ保険料率だとすると、どうなるか見てみよう。

・7.62% → 60145億円
・8.20% → 64723億円(+4578)
・9.34% → 73721億円(+13576)

これが結果である。
赤字になっていた主な理由は、「保険料率が低すぎる」ということである。同じサラリーマンが平等、というなら、協会けんぽと同じ負担率にすればよいだけなのである。赤字額は縮小するし、今年度の保険料率を適用すれば、1兆円以上の保険料増収となるはずだから、赤字が解消されるかもしれないぞ。

(*):しかも、本人負担率はもっと下がる。それは事業主側が多く払う為だ。なので実際に勤務している人の保険料負担は2倍近くに差が開くわけである。


健保組合の方では、「同じ医療を受けるなら、同じ支払いでなければおかしい」という主張をしていたんですよね?忘れたわけではありますまい。
健保組合は、例えば病院と診療所では同じサービスなんだから、患者負担が同じじゃないのはオカシイじゃないか、と言っていたわけなんですね。確かに一理あると思うので、そういう方向にしたんでしょう。それが再診料だったかの統一ということだったと。


さて、一方では、保険料負担というのは、言ってみれば患者負担なんですよ。そうするとですね、同じサラリーマンでありながら、全く同一の診療を受けているのに、「地域や勤務先」によって「患者負担が全く異なる」ということになっているわけです。これは、健保組合の論理や主張からすると、明らかに矛盾するでしょう?
これは健保組合だけではありません。国家公務員共済組合も同じ理屈なんですよ。保険料率は、もっと低い6.434%でしたから、一番得ですねということです。


つまり、健保組合側の言い分というのは、欺瞞に過ぎない、ということです。
彼らは、国民の医療を良くしようとか、そういう意図を持ってやってることではない。自分たちは負担したくない、できるだけ負担を逃れるには、どうしたらいいか、企業が一番儲かるにはどうするか、既得権益者たち―大企業や公務員など―を守るにはどうするか、そういうことだけを考えて意見を言っているのと何ら変わりがない。

患者の負担がどうの、とか、患者側の立場で云々、とかそういうもっともらしいことを言いながら、本質は「オレは払いたくない」という一点に行き着くわけである。そういうのを隠蔽するレトリックを駆使しているに過ぎないのだ。


連合も、結局はこうした大企業勤務の権益を守る団体なので、絶対に認めようとしないだろう。役人と大企業が一致していれば、権力構造の中枢を握るわけだから、彼らに対抗できるはずなんかない、ということさ。その他大勢が明確に気付いて、数で押し切れるくらいに結集しない限りは、無理なのだということ。


健保組合が「他の保険の負担を肩代わりをしている」というのは、単なる大衆煽動に過ぎない。現実には、払っている保険料率は低い、という不公平を維持する温床となっているのである。その既得権を守るのは、役人や大企業という「特に優遇されている人々」なのである(一部は学者もそうかもね。国公立大学とか私立大学とかの共済加入なので)。




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