電脳筆写『 心超臨界 』

人生は良いカードを手にすることではない
手持ちのカードで良いプレーをすることにあるのだ
ジョッシュ・ビリングス

密バチがせっせと密を集めるのは、花のない冬に備えてである――外山滋比古さん

2013-03-02 | 05-真相・背景・経緯
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『空気の教育』http://tinyurl.com/b42qv3e
【 外山滋比古、筑摩書房 (2011/1/8)、p31 】

オーストラリアの密バチの話がある。

ヨーロッパからオーストラリアへ移住した人がいた。来てみるとオーストラリアは常夏で、年中、花がある。密バチを飼えば成功すると考えたその人は、ヨーロッパから優秀なハチを輸入して養蜂業を始めた。

はじめのうちこそ順調であったものの、やがて、さっぱりハチは蜜を集めなくなってしまった。不思議に思って、調べてみてわかったことは、オーストラリアにはいつも花があるのがいけない。ということであった。密バチがせっせと密を集めるのは、花のない冬に備えてである。オーストラリアのように年中花があるのなら、なにも働きバチというたとえがあるほどに、一生懸命になって飛びまわる必要はない。そう考えたのかどうか、ハチはそのことを発見して、のんびりすることにした。おかげで、この人の養蜂業は失敗に終わった。

世の中が豊かになり、便利になったのは結構だが、目と鼻のところへ行くのに、クルマを走らせたり、バスに乗ったりするようになっては、問題である。すでに、オーストラリアのハチになりかけている。密をとるのはへたになってしまう。

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