電脳筆写『 心超臨界 』

現存する良品はすべて創造力の産物である
( ジョン・スチュアート・ミル )

論理や言語による記述が通用するのは、「目で見える世界」だけ――天外伺朗

2024-07-14 | 07-宇宙・遺伝子・潜在意識
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われわれは、日常生活においては、論理や言語による記述に絶対的に依存していますが、それが通用するのは、「目で見える世界」だけなのです。逆に言うと、目で見える世界を観察して、それを上手に記述するために論理が生まれ、言語が生まれ、常識が確立したのです。


◆論理や言語による記述が通用するのは、「目で見える世界」だけ

『般若心経の科学』
( 天外伺朗、祥伝社 (1997/12/1)、p98 )

私は、若いころにはこのように論理的に一貫性のない仏教に、なんとなく反発を感じていました。何といいかげんな宗教だろうと思っていたのです。ところが、年を取るにつれて、この“いいかげんさ”が素晴らしい、という心境になってきました。

「あの世」を記述するときには、論理的な整合性には何の意味もないことがわかってきたからです。

これは、なにも「あの世」までいかなくとも、極微の素粒子の世界で充分わかります。

つまり、素粒子レベルの世界では、われわれの日常的な常識や論理がまったく通用しないのです。今まで何度も書いていますが、壁に二つの穴を開けておいて、片側から一個の電子を飛ばしてやると、その電子は二つの穴を同時に通ることが知られています。

実は、穴の数が100個だろうと1000個だろうと、すべて一個の電子が同時に通過するのです。これは、素粒子の世界の粒子というのは、われわれがよく知っているテニスボールやパチンコ球のような粒子ではなく、粒子と波動の性質を両方兼ね備えているからなのです。

われわれが、目で観測できる寸法の粒子には、このような性質はありません。したがって、われわれが日常的に使っている論理体系では、このような素粒子は扱えませんし、日常的な言語では記述することすらできません。

現在のところ、「量子力学と呼ばれる理論で数学的に記述する」、というのが唯一の表現手段です。つまり、われわれは、日常生活においては、論理や言語による記述に絶対的に依存していますが、それが通用するのは、「目で見える世界」だけなのです。逆に言うと、目で見える世界を観察して、それを上手に記述するために論理が生まれ、言語が生まれ、常識が確立したのです。
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