司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

議決権行使書と委任状の関係 その5

2012年10月09日 | 株主総会

おはようございます。

これまで、ワタシ共のクライアントさんから議決権行使の委任状の有効性について、ご質問を受けることはほとんどありませんでした。

株主の少ない会社サンの場合には、会社と株主との意思疎通が上手く取れているからだと思います。
つまり、実質的には、株主の指示で株主総会の決議をすることが多く、株主総会は開催するものの可決することが初めから確定しているような状況ですから、委任状は単なる形式にすぎません。

一方、株主の多い会社サンのうち、上場会社サンの場合は、書面による議決権行使の方法により議決権が行使されますし、議決権行使書は、そもそも会社では作らないので、モンダイになりません。
巷では、委任状合戦が繰り広げられているケースがありますが、大株主サンが対象で、弁護士さんなどが関わっていますから、こちらもワタシたちが相談を受けることはありません。

ちなみに、先日、上場会社の方に聞いてみたところ、「株主総会の当日に、委任状出席される代理人は見たことがないデス。」と仰っていました。

最後が、非上場会社で、株主の数がそれなりに多い会社サンの場合ですが、こちらは、予め、代理人の記載をどうするか、説明しているご様子です。

。。。というわけで、今回は、委任状が提出されたのだけれども、こういう場合、有効なの?無効なの?という事後的なモンダイであります。
具体的には、代理人欄が空欄のままの委任状は有効かどうか?です。

これについては、「株主提案と委任状勧誘(商事法務)p151~155」に記述がありまして、いくつかのパターンに分けられています。

(1)代理人欄に株主自身の名前が記載されているケース
(2)代理人欄に会社名が記載されているケース
(3)代理人欄が空欄のケース
(4)押印のないケース
(5)届出印でない印鑑が押印されているケース
(6)委任者の住所等が株主名簿と相違しているケース

結論としては、(1)無効、(3)有効、(2)(4)(5)(6)具体的な事情により結論が異なる、という感じです。

すんごく要約してしまいますけど、委任状の勧誘行為の法的性質は、株主に対する議決権代理行使の委任契約又は議決権代理行使を第三者へ委任することの仲介もしくは媒介契約の申込みまたはその勧誘行為であると考えられているそうです。

したがって、代理人欄が空欄である委任状は無効と解するべきではなく、株主としては、会社等が選んだ第三者に対して議決権の代理行使を委任する意思があると推定され、結果、白紙委任状を取得した者(会社自身は不可)は、当該委任状にしたがって、代理人として議決権を行使することができる、ということのようです。

ワタシなりに理解した結果を噛み砕いて言うと。。。
株主サンには代理人に議決権を行使して欲しいという意思があり、代理人欄が空欄の場合、会社に対して、「適当な代理人を選んで、そのヒトに議決権を行使させてください」という意思を含んでいると解釈することができる。
だとすれば、代理人欄が空欄の委任状は有効なのであり、会社が選んだ代理人が議決権を行使することができる。。。ということかと思います。

(1)については、株主自身が記載されている以上、自分以外の第三者に議決権の代理行使の委任をしたと推定するのは困難であり、無効と解するしかないだろう、ということみたい。

ぃや~。。。難しいんですね~^^;
他のケースもご紹介したいけど、書籍の丸写しになっちゃうと思うので(自分でちゃんと理解しているか、イマイチ自信もないので^^;)、ご興味のある方はご購入くださいませね。

。。。というわけで、(3)のケースだけとは限らないですけど、とにかく、空欄の委任状に関しては、有効ということですから、懸案事項は一応解決しました。

いずれにしても、「議決権行使書 兼 委任状」ってモノは、個人的にはおススメしたくないけど、どうしてそんな書式が出回っているのか、理由が知りたいですね~。
モットもらしい理由があるのでしょうか?

ちょっと最後が尻つぼみっぽかったですね。。。
失礼しました^^;

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