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逃げる人

2011年05月25日 | ブックレビュー

 今も絶好調で幕末オタクを継続中ですが最近は吉村昭先生専門。「桜田門外の変」、「天狗争乱」ときて昨日「彰義隊」を読了。「桜田門外の変」なんていうと井伊大老が雪の降る日に桜田門外で暗殺されたということしか知らなかったのですが、そこに至るまでの井伊大老と水戸藩の関係を見てると暗殺の場面なんて本当に手に汗握る感じでした。首級をあげたときなんぞ「やったぜー!」と雄叫びを上げる侍の姿が見えるよう。

 で、知らなかったのは暗殺者達のその後なのですが実行犯は大体自首して出たものの、当日の段取り決めて現場を仕切って暗殺を見届けるための人がいました。その人は直接切り込みには参加しておらず、やり遂げたことを確認してすぐ薩摩藩との連携のために旅立つわけですが肝心の薩摩藩は腰を上げず…ということで、圧巻は後半の逃避行。本当にあちこち場所を変えながら逃げ回ってたのですが、今と違ってすべて徒歩での旅ですからどんな様子だったのかととにかく想像力を働かせるのに大変。しかしその辺に読み応えがあります。

 一方「天狗争乱」も面白かったのですが、こちらは約千人で京の都に上ろうとしたわけで、雪道の強行軍のあたり読み応えはあったものの、単独逃避行の「いつ見つかるか」というハラハラ感には及びません。そして「彰義隊」ですが、これも最高。皇族でありながら戊辰戦争で朝敵となった人物が主役ですが、これも上野寛永寺から逃げ出してからの日々はすさまじいものがあります。歴史の時間ではこういうのはほとんど聞いてないのではなかったかと。(ま、私が授業をちゃんと聞いてなかっただけかもしれませんが)

 そうしているうちに小説は逃避行でなければ満足できない身体になりつつあって、実は現在読んでるのはまたも吉村昭先生の「長英逃亡」。ま、あんまり心臓には良くないんですけどね。


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