2024/07/30 読売新聞オンライン
水素車両を紹介するトヨタの中嶋裕樹副社長(右)ら(27日、大分県日田市で)
トヨタ自動車が、モータースポーツで培った水素関連技術を水素社会のインフラ(基盤)づくりに生かしている。各地の自治体と協力して「働くクルマ」などの公用車に水素車の導入を働きかけるほか、レース場で磨いた技術を車両開発などに生かしている。
まちづくり 今月27~28日、大分県日田市で開かれたレース「スーパー耐久(S耐)」。会場付近ではレーシングカーに交じり、3台の「働くクルマ」、救急車、ごみ収集車、バスが展示された。すべて燃料電池(FC)で動く水素車だ。
一見、レースと無関係な水素車を集めたのには、トヨタなどが九州で進める水素活用の取り組みが関係している。トヨタは昨年7月から福岡市と協力し、同市の給食配送車やごみ収集車、救急車にFC仕様の車を順次、供給してきた。今年6月までに給食配送車は約20万人分の給食を運び、ごみ収集車はごみ計約450トンを収集した。
FCの電気でモーターを回す燃料電池車(FCV)は「究極のエコカー」とされる。福岡市は全国的にも珍しいごみの夜間収集が特徴で、担当者は「騒音の小さいFCVとの親和性が高い」と話す。
昨年11月からは、福岡県やJR九州がFCのマイクロバスの実証実験も行っている。トヨタの中嶋裕樹副社長は27日、「実際に使ってもらい、データが集まってきた。量産に向け、大きな一歩だ」と述べた。