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思い出歴史後世に…改修しカフェに■ネットで展覧会

2024年08月31日 | ニュース

2024/08/30 読売新聞オンライン

銭湯の雰囲気がそのまま残ったSENTOビルのカフェ。鈴木さんは「銭湯が担った役割を引き継ぎたい」と話す。(文京区で)

浴槽だったスペースで喫茶を楽しむことができる

「『メタバス』を楽しんで」と話す小林さん(小金井市で)

■「生かす選択肢示す」

廃業した銭湯の建物をそのまま使ってカフェとして生まれ変わらせたり、ウェブ上に再現したりと、銭湯文化を残す様々な取り組みが広がっている。

銭湯特有の煙突が目立つ文京区根津の「SENTOビル」は、2007年に廃業した銭湯「宮の湯」を改修した複合施設だ。建物1階に入るカフェは、浴室や脱衣所だったスペースに机や椅子を置き、高い天井やタイルの壁画、げた箱など、当時の雰囲気をそのままに抹茶やコーヒーを楽しめる。

ビルを所有する「鈴和建設」社長の鈴木浩蔵さん(50)は、「形が変わっても多くの人が集まって落ち着くことができるという銭湯の役割がそのまま残った施設にしたかった」と語る。

宮の湯は鈴木さんの祖父の兄が約70年前に開業。その息子夫婦が2代目として経営していたが、夫が病気で体調を崩してからは長らく休業。頼まれて宮の湯を引き取った鈴木さんは、再開する道も検討したが、採算の見通しが立たず断念した。

鈴木さんにとって銭湯は、子どもの頃に通った思い出の場所。このままなくすのはあまりにも惜しいと思った。「雰囲気を残しつつ、商店街に活気を生むような面白い施設にしたい」と思い立ち、建物を改修。20年5月に再スタートを切った。

銭湯の名残があるカフェや物販店は、若者や海外の観光客に人気だ。宮の湯の常連客だった人も訪れる。「おじさんは学生に優しく、営業時間を過ぎても入れてくれた」「建物を壊さないでくれてありがとう」。そんな言葉がうれしい。

鈴和建設は公衆浴場の改修工事などを手がけている。鈴木さんは「今ある銭湯の経営が続くのが一番」としつつ、「廃業して更地になり、新しいマンションが建ってしまえば、街の景観や雰囲気も変わってしまう」と危惧する。鈴木さんは、SENTOビルをモデルケースにして、オーナーや地域にとっても大切な銭湯の建物をそのまま生かすという選択肢を示していきたいと考えている。

■「銭湯文化知って」

3Dでの再現は、文化資源をデジタル化し記録や保存を目指して、都と東京都歴史文化財団が連携して取り組む事業の一環だ。子宝湯の外観や内部を、3次元レーザースキャナーで計測したり、ドローンで撮影したりした

約100地点の計測結果や約6000枚の画像を組み合わせた3Dモデルでは、室内の様子や外観などを様々な角度から見ることができ、使用された部材の形状や凹凸まで確認できる。

このほか、子宝湯と同じ年に建てられ2021年に廃業した同区千住寿町の大黒湯も3Dで紹介。大黒湯はすでに取り壊されており、記録していたデジタルデータを利用したという。

サイトの企画を担った同財団アーツカウンシル東京の小林愛恵さん(41)は、「昔ながらの建物や内装の子宝湯に対して、大黒湯は番台をフロント形式にするなど時代に合わせて改修されていた。二つを比べて、銭湯の歴史や文化をより深く知ってほしい」と話す。

サイトでは、日本語のほか、英語でも解説をつけた。6月26日の公開開始から約2か月で国内外の約1万8000人が訪れたという。

展覧会「Meta Bath~デジタルで見る東京型銭湯~」=QRコード=は10月27日までで、その後は、アーカイブとして残し公開することも検討している。

小林さんは、「時代に合わせて変わっていく銭湯の歴史を記録することは、庶民の文化を記録することにもつながり、大きな意味がある。国内外の人に銭湯文化を知ってもらうきっかけになれば」と話す。

 

 

 

 

 

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