半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

涼しくなってきたけれど

2023年10月04日 | 朝取り野菜ボックスのお手紙

今週の朝採り野菜ボックスのお手紙です。

 10月に入りようやく最高気温が30℃を下回るようになってきましたね。日中でも畑仕事が普通に出来るようになったのですが、気温は例年より高く、一方、季節は実際には進んでいるの日が暮れるのが早くなってきました。この「気温」と「日照」は作物の生育スピードに関わってくるので、冬野菜の種蒔きの判断が難しい年になっています。

 この辺りでは9月半ば頃から気温も下がり虫の量も落ち着き始めます。また、野菜には生育適温というのがあり、ホウレン草や大根など冬野菜の適温は大体15~20℃と言われています。

 アブラナ科は細胞が膨らみやすいのかわかりませんが、生育が早いので、例えば小松菜などは9月下旬に播いてもちゃんと育ちます。ところが吹けば飛ぶような種の春菊、あるいはホウレン草などは9月末に播くと、寒い年は大きく育たないまま冬を迎えてしまうのです。

 なので、9月10日頃から何日かにわけてホウレン草や春菊の種を蒔くのが一般的なのですが、今年は9月は30℃を超す日も続いていたので、例年よりだいぶ種蒔きを遅らせて、1回目は9/23、2回目は9/26と播き、3回目は我が農業人生で初の10月に入ってからの種蒔きをしました。

 春は三寒四温といって段々暖かくなりますが、秋は逆で段々寒くなります。植物は気温とお日様の光で育つのですが、秋はその日光量と気温が右肩下がりなため、10月にもなると「1日の種播きのずれが収穫の1週間のずれに繋がる」と言われています。そのため、9月上旬、早い人だと8月末から3日とか5日置きに種を蒔くのです。

 ところが今年は気温が下がらず虫も活発で、知り合いの農家さんから「9月上旬までに播いた大根が全部虫にやられてしまったから、10月、11月の出荷は出来なくなっちゃったよ」という話を聞きました。9月上旬は虫がまだいる時期なのですが、本来は9月半ばから気温も下がり虫も減っていくのです。

 ところが、今年は気温が下がらないせいか虫の量が半端ないのです。有機野菜を取り扱う業者さんに聞いたら「千葉県だけでなく、北海道や九州など、あちこちで異常気象の影響を受けて野菜が集まらないんです」と言っていました。気候変動によって一番打撃を受けるのが一次産業ですが、今年は今までで一番酷い年ですよね。

 別の話では、8月上旬に播いた秋冬人参が、発芽時期のお盆頃の雨で叩かれ発芽不良になってしまい、さらに9/8の大雨で低い畑が水没した、という農家さんもいました。今年の千葉県はずっと雨が降らず大干ばつ続きでしたが、8月以降は雨の被害が多く、冬野菜の出荷量が大分減りそうです。

 そんな中でもお米はまあまあだったようです。田んぼは水を人的に入れられるので、暑さの中でも良く育ちました

 今年はカメムシが多かったようで今まで以上にネオニコチノイド系農薬を使う事が推奨されていくと思います。世の中の99%のお米はネオニコチノイド系農薬を使っているという人もいますから、ますますそうではないお米の希少価値が上がってくると思います。

 食べ物の確保が気候変動で脅かされている現代、食糧安全保障というと「小麦などの海外の作物をどう引き続き安定的に調達するか」という話ばかりになりますが、国内、あるいは地域の農家さん達をどう守っていくのか、その中でも無農薬で頑張っている人達が自分達にとって必要ならどう応援するのか、というローカルな視点をもった人達が政治家はもとより市民の方々にも増えて欲しいですよね。

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