半農半X?土のある農的生活を求めて

「生きることは生活すること」をモットーに都会から田舎へ移り住み、農村の魅力を満喫しながら、日々、人生を楽しく耕しています

TPPを考える、日本の農を考える

2011年10月27日 | 自分の時間
野田さんが、TPP参加意向を表明しています。

野田さんは、今までの首相とは違って「本来、決めなくてはいけないこと」を粛々と進めている気がします。
それは、よっぽど過去の総理より良いのでしょう。

でも、私が農に関わっている身分で農業よりということ、食について色々考えていること、そして何よりも「福島原発問題」で関東の農業が大打撃を受け、何よりも「農家さんが精神的に大打撃」を受けているこのタイミングで、TPPを「検討しながら」ではなく「規定路線」として進める姿勢には、疑問です。


TPPは昨年末から急に騒がれ始めました。
私も今年の1月に、情報収集してまとめてみました。

TPPってな~に?①~⑥

もともと長文な私ですが、6回シリーズで書いたテーマは初めてでした

まあ、ブログは情報発信だけでなく、自分の頭を整理したり、情報をとどめておく備忘録のような役割もあるのでね。


そして、今回読み直してみましたが、当時はなんだかわからないながらまとめたものでしたが、今、振り返ってみてみると「おっ、10ヶ月前の俺、結構がんばってまとめているじゃん」と褒めてあげたい内容でした


なので、関心がある人は、是非、私の過去のブログを読み返してもらいたいです。
→TPPってな~に?①~⑥

これを見返すだけでも、TPPはよくよく考えるべきだということが改めてわかりました。

ちなみにTPPはアメリカ、日本と東南アジア諸国やオーストラリアの「みんなで関税をなくしちゃおう」というグループです。
FTAは「個々の国同士で関税をなくしちゃおう」というものです。例えば、日本とメキシコ、みたいに。

TPPの特徴は、加盟国がアメリカ+第一次産業が産業の中心の国、ということです。
もともと、アメリカが入らなければ、大したグループじゃなかったのですが、アメリカが入って様相が一変しました。
中国や韓国のような経済国以外の国に、影響力をもっておこう、経済圏をアメリカ主導で作っていこう、ということでアメリカはTPPに参加した、と言われています。

でも、不況大国のアメリカが、新しい事をするときには「雇用が増える」ことしか、しません。
つまり、アメリカの仕事が増えること。

TPPの参加国には、経済大国はありません。アメリカがTPPに入る時、今の日本と同じように、アメリカの畜産業や酪農産業、また安全基準が緩い食べ物が入ってくることに対する消費者団体などが、異論を唱えたそうです。

それでも入りました。そして、入ったからには、「アメリカ国内の第1次産業を開放する代わりに、第二次、第三次産業で仕事が増える」必要があります。

すると、まだまだマーケットとして魅力のある日本をどうしても入れさせたいわけです。


日本側は「日米同盟強化」「アメリカ親分の指示」であれば、従うしかありません。中曽根さんの時もしかり、小泉さんの時もしかり、アメリカの指示に従って市場を開放することで、多くの日本の産業がダメージを受け雇用が減りましたが、アメリカを中心とした外資の企業が市場参入が出来ましたし、その結果、アメリカとの関係は強くなりました。


ただ、建前上、「グローバルな競争に取り残されてはいけない。その為には日本も開国すべき」という話で、参加を決めようとしています。

となると、焦点は

「日本にとって経済効果があって、雇用が増えるのか?」
「それに伴う痛みは、国民が納得できるものなのか?」

の2点です。


本当に日本の輸出が増えて、雇用が拡大すればいいんです。

でも、ある人の話では、日本の輸出総額に占める耐久消費財(家電や自動車の総額)の割合は1.5%だけだそうですし、しかもそれにかかる関税は5%だけだそうです。

実際、日本のアメリカの新車販売の6~8割は現地法人です。他にもカナダに輸入してからアメリカに出す、といった色々な「関税回避策」をとって日本の輸出産業はやってきました。


関税より、今は「円安」の方がもっともっと深刻な問題なはずです。「関税」より、貿易は「通貨」なんです。

TPPに入るから関税障壁が無くなって喜ぶのは、一部のメーカーだけです。もし、円が10円でも安くなれば、そっちの方がよっぽど経済効果があるんですから。


そして、TPPに加盟し、「引き換え」に差し出すのが「日本国内の農産物マーケット」や「医療分野」などです。

私は農に近いので、農業について語りますが、TPPをきっかけに、日本の農業が強くなって、結果的には日本の農家が強くなり、農業、牧畜、酪農が弱体化しなければ、それでいいと思います。

でもですね、日本の農業、牧畜、酪農などが、海外と戦って勝てるはずがないんです。勝てるのは「ごく一部」の経営力がある組織だけです。


まず、日本は「産業としての農業」に向かない国です。

国民が食べれる分だけを作る自給的農業としては、様々な技術が開発されてきましたが、世界視点で見たら「国土が狭い、平地無い」のです。

世界では、自分達が食えなくても金を稼ぐために土地を疲弊させてまで農産物を作って売っています。オーストラリアなんか砂漠化が進んでいる原因の1つが農業です。また、ウクライナのような肥料もいらない肥沃の土壌で四国ぐらいの大きな畑で農作物を作る、というのが「グローバルな農業」です。

日本で言う「大規模化と効率化」というのは、スローガンに過ぎず、世界レベルで考えると「前提条件」が違いすぎます。


次に、「日本の農業は海外との競争にさらされず、守られてきたという歴史」があります。

例えば、数少ないまともな自給率の農産物の米。

そんなお米ですが、米の関税を守るために、77万tの不必要なお米を毎年輸入しています。なのに、減反もしています。

そして、経済連、JAといった仕組みが流通を作り、この流通に頼る農家がほとんど、という構造でずっとしてきたんです。

さらに、その米農家のほとんどは「兼業農家」です。

農協は、入ってくれる農家の戸数が生命線です。政治家も票の数が欲しいです。


野菜もやっぱり農協ルートが最大です。

こんな状態が、何十年も続いてきたんです。


一方、海外は「農産物」や「畜産物」を「価格競争・品質勝負の競争商品」として、もう10年以上前から世界で戦わせ、流通を競ってきているんです。

良く例にだされる韓国なんかは、パプリカのように世界で勝てる作物に集中して、それ以外の農産物の国産は捨てて、海外のものを取り入れています。政治と経済は一体であり、貿易立国として、勝つために世界で戦っています。

TPPの加盟国は、日本に対して第一次産業の「価格競争に耐えてきた商品」を保有する国々ばかりなのです。


牛肉、オレンジなどは開放されました。結果、みかん農家は減り続け、日本の畜産業は困窮しています。

「海外の競争を勝ち抜いてきた商品」と日本は戦えない「前提」と「歴史」があるんです。

別に、国民全体が国産にこだわらず、企業化を実現できている一部の農業生産法人が、国内や海外で商売を成り立たせ、スーパーに並ぶ野菜の大半が海外のものになってもいい、というなら問題ないと思います。

私は農家さんと繋がって、顔の見える関係で安心して食べれる農作物を食べ続けますから。

でも、もし、国の農家を守りたい、国産を守りたい、という気持ちがあるなら、TPPに参加するといった次元の前の問題を解決しなくてはなりません。

そもそも「農家がいなくなる危機意識」を、日本政府は、TPPという話が出る前からもって、それこそ膨大なお金を投じてきたんです。

・農産物を主とする販売農家の70%が5~10年で辞めようとしている
・後継者がいる農家は半分もいない
・さらに、原発問題で、特に関東の60歳以上の農家さんは「辞めたい」という気持ちが高まっている

というタイミングで、TPPの前にやることあるでしょ、と思ってしまいます。

日本の農業が弱いというなら、まず鍛えなくてはいけないですよね?

しかし、今の論理は「武具をつけてあげるから、弱いけど戦場にいってこい」といっているのと同じです。

武具をつけたって、鍛錬されていなければ、勝てるわけありません。

もっといえば、「勝てない戦い」に挑む必要がどこまであるのか?です。逆にいえば「勝てる作物」だけで戦っていけばいいじゃないですか。


韓国だって、思い出せば1997年に経済破綻し、国際通貨基金から緊急支援570億円をうけて(日本は最大の100億ドル)、なんとか生き残ったわけです。ちなみに、最近、韓国はまた経済破綻すると言われています。

アメリカも失業率を10%超え、EUでも経済破綻国が増え続けています。


先進国などと比較すると、実は、まだギリギリセーフな日本。
先進国と言われたきた各国が「財政破綻」の危機に直面している中、日本は、どこまで経済を追いかけたら目標達成、となるのでしょうか?

その目標に達成するために、日本の農業、医療、公共サービスを開放する価値は本当にあるのか、研究尽くしたのでしょうか?

枝野さんか原田さんかが、「あえて経済成長を求めない方針もありうる」と、かつてTVで言っていました。経済成長を求めない、というのは語弊があるかもしれませんが、長い歴史を持つ日本という素晴らしい国を、どういった国に作りなおしていくのか、ビジョンを決めないといけないのでは?


最近、スーパーで海外産のブロッコリーが売られていました。「安いな~」と思って買いましたが、一昨日会った方から「某お弁当チェーンのブロッコリーって、花が咲かず黄色くならないよう、遺伝子組み換えしているやつを使っているとニュースでいっていましたよ」と教えてくれました。

ブロッコリーって、放っておくとすぐ黄色くなっちゃいますよね?アブラナ科なので、1つ1つが菜の花のように花がすぐ咲いちゃうんです。

でも、某お弁当チェーンのブロッコリーは、花が咲かないので長期間保存にも効くそうです。

牛も狂牛病であれほど騒がれて、日本は若い牛に限り輸入を認め、かつ全頭検査をしていますが、フランスやアメリカは緩和を求めてきています。

TPPに入れば、これから関税だけでなく「規制緩和」の交渉がどんどん仕掛けられてくるでしょう。
むしろ「規制緩和」が主目的だ、という人もいるぐらいですから。

そういった荒波に日本も入るのは「電気が無くなるから、原発は爆発したけどこれから安全に管理するから続けていこう」といてちる論理と同じだと思います。

本当にTPPのテーブルにのって、情報を得ながら離脱も選択肢としてある、ならいいんですが、野田さんは明確に「もう決めたのだから」と言っています。


政治は私なんかが言う甘っちょろい世界じゃないのでしょうが、みなさんは、どう思いますか?
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