駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

世に無償の接待はない

2021年02月23日 | 世の中
 私は臨床医を五十年してきた。正直に告白して折に触れ四十年間薬品メーカーの接待を受けてきた。勿論、多い少ないの差はあるが、これは私と同年配の臨床医の90%以上が経験していることだ。十年ほど前から薬品メーカーの接待は縮小しはじめ、今は勉強会の後援や製品に関連した勉強会だけになっていると思う。十五年くらい前までは数名の医師を料亭に招いて、新しい製品の説明会が年に数回行われていた。説明と言っても十分ほどで、あとは世間話をしながら美味しいものをいただいた。唯、料亭と言っても七、八千円のレベルで東北新社にはかなわなかった。もっと昔三十年以上前は製品の説明など殆どない、単にご馳走して貰うような会もあった。勿論、直接薬品の説明はなくても、後日この薬を使ってくださいと頼まれれば無碍に断ることはしにくくなくなるわけで、決して無償でご馳走して呉れたわけではない。
 そんなことは大人なら誰でもわかる常識で、関係者とは思わなかったと言うのは真っ赤な嘘だ。そうした言葉の言い逃れは通らない。本当にわからなかったとすればそんな無能な人物に税金で給料を払う必要はない。
 心から謝罪しますと口で言って頭を下げて済む問題ではない。安倍前首相と菅官房長官は言葉と忖度による誤魔化しで森友加計桜を逃れてきた。世の中には取り返しの付かない問題もある。もはや言葉だけでは信頼を取り戻すことはできない。落とし前をつけていただきたい。安倍前首相に比べるとレトリックで誤魔化す能力は劣るようで、低姿勢で頭の上を批判が通り過ぎるのを待つ作戦のように見えるが、身内依怙贔屓で公を私物化する首相は信用できない。
 カーボンニュートラルやデジタル化はまっとうな政策だが、権力維持戦略としてではなく、全ての国民のことを考えながらもっと的確に遂行できる人物が首相のほうがよいと申し上げたい。

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