駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

材料も調理によって

2010年03月04日 | 政治経済
 友達に鯛一匹あるいは鳥一匹を頂いたとする。さてこれで、今夜の主菜を作ろうとした時、誰でも何処でも同じように旨い料理ができるだろうか。料理人の腕や厨房のしつらえによって、できあがる料理の味は異なってくるだろう。
 これはあまり良い喩えではないかも知れないが、似たようなことが医療薬品に起きている。今度の医療保険改訂で厚労省はジェネリック薬品(後発薬品)使用を強力に後押しする施策を打ち出した。その理由は医療費抑制、つまり安価なジェネリック薬品を使わせることによって医療費を削減したいためだ。このジェネリック薬品は特許の切れた医療薬剤を後発の強弱大小の薬品メーカー(約300社)が入り乱れて製造している薬で、値段は先発薬剤の25-70%と極端に安い(先発薬品が高すぎるという声あり)。薬効成分が規定通り含まれているという化学的な保証と血中濃度が先発薬品と同等という保証はあるが、実際に患者に投与する治療検定は行われていない。薬剤の賦形成分、被覆成分などはまちまちで、先発一流メーカー品と同じではない。そのためか中にはどうも一流メーカー品に比して効きが悪いのではないかと思われる薬もあるらしい。これは我々臨床医の間で囁かれている印象で科学的な検証があるわけではないが、薬の使い心地を知っている最前線の臨床医の印象だからあながち嘘ではないだろう。厚労省の高級官僚が弱小メーカーのジェネリック降圧剤や血糖降下剤を服用しているとは考えにくい。もし服用しているとしても比較的高価な強大メーカーのジェネリック薬品だと思われる。安定供給もままならぬ弱小メーカーはいづれ自然淘汰されるのでいいと厚労省は考えているのかも知れないが、情報公開と説明責任に於いて不十分な所があるという感じがする。
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2 コメント

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材料も調理によって (柳居子)
2010-03-05 14:00:18
ゼロ薬使用をドイツのように法で強制すると 新薬開発メーカーの国際競争力が落ちる 難しい問題ですね。


以下は、お時間が許せばご披見ください。

ジェネリック薬品 其の二
 ジェネリック薬品の普及に付いては、色々と問題点があるようだ。 先発薬 後発薬の品質保証が完全になされても、ブランド志向の強い日本の事 後発薬に偏見を持つ人が、医療従事者 患者双方に多いようだ。 医師の薬剤処方がジェネリック(成分名)での記載はされていない 個別の商品名で処方されることが殆どだと聞く。 医師・薬剤師の再教育もジェネリック普及には大きな問題点である。
  薬の流通現場での話しでは、扱う薬局の数の少ない事がある 医薬品は成分分類だけでも約3000種類あり 其々薬効成分の含有量の差や 内服 外用などの薬種を集めると 単品としても10,000程の種類になると言う 先発薬で手一杯のスペースにジェネリックの入り込む余地がない 又 ジェネリックは先発薬に比べて販売ロットが大きい 先発50錠 100錠の販売単位が ジェネリックは 500 1000と言う単位で包装されている 手一杯のスペースに在庫の山が出来ることが判っているから仕入れない 当然薬の入手にも時間が掛かる 扱い業者の少ない薬局間での 手配をしあうことも無いらしい。 患者にとって薬の入手に時間日数の掛かることは問題としては大きい 医師・薬剤師の再教育は先に触れたが 薬名がジェネリックに統一されるとブランド名 既存薬との薬価も同じになり 価格の安いジェネリックへの切り替えと言うのが無意味になってくる 

 許認可の世界は、大きな権益の絡む見えない部分の大きい世界でもある。先発薬とジェネリック薬との価格差が 約二分の一に統一されているようだ この数値も何か政治的な介在があるのかと柳居子考え込んでしまう、

  医療改革の問題は 大きく多い 其の全体像を現実に把握している人がどの位いるのか心元ない 政治家は自分の任期中は手を付けたくないと先送りをしてきて今日がある どうなるのだろう 不安ばかりが大きくなる世界だ。

 ジェネリック薬品の普及では 先進事例として各国のモデルと言われるドイツの 新薬開発メーカーの国際競争力が近年急激に落ちてきた事を新聞が伝えている 事 左様に医療の問題は一筋縄では解決できない。 

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恐れ入る (arz2bee)
2010-03-05 22:25:29
 いや さすがここまで医薬品の問題点がおわかりとは。恐れ入谷の鬼子母神。
 厚労省に少し知恵をつけてやって下さい。
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