駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

アンパンは美味しいが

2020年09月20日 | 診療

         

 

 アンパンは美味しい。今では素朴なものから皮をブリオッシュからフランスパン風まで生地に工夫を凝らしたものまで色々あるが、昔からの平凡なアンパンの人気は根強い。

 糖尿病は食べ過ぎが大敵で中でも甘い物の摂取を減らさなければならないのだが、甘い物が好きな人が多く実行は中々難しい。実行する前に理解が届かない患者さんも多い。甘い物の中に饅頭や羊羹は入っていてもなぜかアンパンは入っていない爺さんがおられた。急に糖尿病のコントロールが不良になり、検査指標のヘモグロビンA1cが8.0%と高値になってきた。あれどうしたのかと色々聞いてゆくと、先月からアンパンのおいしさに目覚め、毎日二個食べているという。本当は三個食べたいのだが我慢して二個にしているという。我慢していると言うことは本当は良くないと知っていたのではないかと推測されるが、注意してもあっはと笑っておられる。笑って誤魔化している?。

 頭では分かっていても好きなものを食べたいという欲には勝てないわけだ。おまけに食べても一週間やそこらではなんの変化もない。家族が注意すれば俺の好きだ何が悪いと怒り出す。研究して積み上げた糖尿病治療の知恵がないがしろにされている。医者に注意されるとあっそうかあっはと頭を掻く、医療現場に限らずなんだか似たようなことは世の中に一杯溢れているような気がする。

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