駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

診断はいつも難しい

2018年06月04日 | 町医者診言

         

 救急隊員が70台男性を死亡していると判断し警察官に引き継いだところ、警察官が生きているのに気付き、別の救急隊により一時間半後に病院に搬送されたというニュースを目にした。

 男性はその後病院で治療を受けているが、担当消防局は病状に影響していないとしている。ちなみにこの不祥事は大阪市の消防局、やっぱりというかだろうなというか大阪市民には不本意な感想が浮んだ。

 ただ、そんな簡単なこともと思うのは違う。病気の診断はいつも難しい。典型的な風邪でも患者に説明する前は一呼吸置く、確実と思われても再確認が必要なのだ。死亡診断も心停止呼吸停止瞳孔散大対光反射なしの確認後二呼吸おいて宣告する。どうして亡くなっているのに何分もの時間を掛けるのだろうと家族は思うかもしれない。しかし内緒の話、ちゃんと死んでいるかと何度も再確認しないと死亡宣告はし難いものなのだ。

 心停止は実は理学的に確認するのはそれほど簡単ではないし、最後の一息というのもある。大阪消防局ではないが、死亡診断に影響はなくても、宣告後の一呼吸で医者の信用は落ちるだろう

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