鈍足台風が日本海に抜けたが、台風一過の日本晴れとは行かず、高温多湿の大気が曇天の下によどんでいる。午後から一泊で出掛ける予定があるのだが、夏空は拝めそうにない。
首相が新国立競技場計画を白紙に戻し、コンペからやり直す決断を下した。英断だと思う。やろうと思えば出来るんだ。類い稀な戦略家の首相だから、安保法制で陰りが見えた人気も意識してのことだと思うが、それでも貴重な税金を他人のお金だからとじゃぶじゃぶと使う体制にメスを入れたことは高く評価したい。懲らしめなければ責任拡散で知らぬ顔の組織の改善は出来ない。野放図に膨らむ資金を手をこまねいて見ていた監督不行き届きの責任を文科相には取って頂きたい。
何と言ってもいい面の皮は森元首相で、いろいろと本当に運の悪い人だと同情する。
首相の英断ではあるがそれをさせた世論の力を自覚したい。ならぬものはならんと歯止めを掛ける圧力をかけ続けていきたい。
先頭を切ったのは建築家の槇文彦氏で、明治神宮界隈の環境を破壊すると言うものでした。先の東京オリンピックでも丹下健三氏の吊り構造の室内競技場を始め各施設は敷地の特性である明治神宮の神聖な森から突き破ること無く、環境に溶け込んでいることを上げています。実際の敷地前の道路に立った時の、ザハの案は巨大な壁で、人々に圧迫感を与えます。
建設業者からは、ザハ案は施工が難しく、工費は予算を遙かに超えるだろうとの懸念は当初から出ていました。
私も国立競技場の最終案に残った物では、やはりザハ案が一番美しいとは思いましたが、国民の税金も無尽蔵ではありませんし、東北人としてはオリンピックよりも復興が先だろうと内心は思っています。
形よりも使いやすさと周りとの調和が大切と思います。芸術作品ではないので。
アベ政権の維持のために、背に腹は代えられず、競技場の方を切り捨てたのだろうと“私には”見えます。そうでなければ、もっと早い時期に決断できたはずで、いや、もっと早い時期に決断してこそ「英断」の政治問題だったからです。
それにしても安藤氏の会見には深く失望しました。
安藤さん、ミスキャストでしょう。