駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

待たされる時の知恵

2009年12月18日 | 診療
 冬場は時に混む。待合室で一時間くらい待たされることがある。イライラするのは血圧だけでなくいろいろと心身に宜しくない。
 当院にはテレビは置いてなく、暮らしの手帖、クロワッサン、ナンバー、ダンチュー、サライの他に新聞一紙、数十冊の単行本が置いてある。待ち時間に読んでもらおうという作戦だ。結構有効に活用され、待ち時間のイライラ解消に役立っているようだ。中には文庫本持参の賢明な方もおられる。
 おばさん達には何はなくてもおしゃべりだ。
 「今、盛り上げっていただよ。先生いくつ?だって。私より上」。と67歳のおばさんに言われる。「勿論、年下ですよ」。といささか憮然として言う。大体若く見られることが多く、その種の失礼には慣れているのだが。
 まあ、そうして大きなトラブルもなく、混んでいれば多少待たされるのは止む無しと大過なく済んでゆくのだが、逆に待たされない時の工夫が必要な時もあるらしい。 
 待合室に患者さんが誰も居らず、「あれ、今日休みかと思った」。と言いながら、「直ぐ呼ばれたのでドキドキして血圧が上がってしまう」。といつもよりやや高めの血圧を釈明される患者さんもいるのだ。そんな時はちょっと雑談をして二三回深呼吸をさせて測り直している。
 実は、誰も待合室に居なくても平然としていられるようになるには十年掛かる。開業して数年は患者さんが来ないと何か悪い噂でもと疑心暗鬼になったものだ。
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