駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

AI医師登場でどうなるだろう

2019年07月24日 | 診療

              

  

 今日は青空が見える。大袈裟だが、有り難い。

 この頃思うのだが、現在AI医の実力はどの程度なのだろう。もう既に平均医を追い越している気もする。内科臨床の難しさは病気の種類の多さと個体の多様性にある。希な病気は試験のために憶えても、実際には生涯に一度遭遇するかどうかなので忘れてしまう。比較的よくある疾患も、個体によって様々な症状多様な所見を呈するので、必ずしも診断は容易ではない。それに最前線では可能な検査に限りが有るし、医療費にも限りが有るので、正直に言うともう四十年臨床医をしているが、診断は今も難しい。

 勿論、万能医のように振る舞う医師も居ないではないが、数年はともかく十年は続かない。一見さん相手で二三回だけの診療なら十年近く評判を維持できるかも知れないが、患者と共に年を取る姿勢の医者には何でも分かりますできますという医師は居ないと思う。今は昔、近くの総合病院に私の患者さんはみんな上手くコントロール出来ていますと自慢げな糖尿病の専門医が居たが、我が儘な患者や理解不良の患者をあなたは駄目とはねつければ、優等生が残って成績がよく見えるのは当然の話で、街中の医師からの評価は高くなくあまり信頼もされていないようだった。

 近い将来、AI医師が導入されると思うが、どのように評価され定着して行くだろう、注目している。果たしてAIは反省したり後悔したりするだろうか。人間は一人一人がかけがえのない存在なので、五十人に一人は診断を間違うのです、残念でしたで、運が悪かったとあきらめがつくだろうか。訴えようにもAIが相手では誰が被告になるのだろう。導入を指導した厚労省ではなさそうだ。AIを開発した技術者では筋違いだし、結局、医院長や病院長になるのだろうか。難題だが、AI医師の不十分な点をそうした形で問題にしても、上手く解決出来ない気がする。

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