駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

保守収縮

2012年03月20日 | 世の中

      

 医師会の若い理事の先生方と飲み食いする機会があった。アルコールが入っているせいか本音が出た話になったが、私より二十才も若い人が非常に保守的なのに驚いた。まあ、私が年甲斐もなく革新的?なのかもしれないが。

 同業者の組織は、仲間の利益を守る為に存在する色彩が強いので、類は友を呼ぶ流れで、似た考えの人が集まりやすいようだ。

 4月に医療保険の改定がある。勤務医と在宅医療へ手厚い傾向が見られる。その思想や方法がどうこうというよりも、改定の中でどう動くと利益が確保されるかと言う話がほとんどだった。確かに厚生省の方針を変えて欲しいと食事会で言ったところで何の効果もないのだが、賢い官僚としわい支払い側の間隙を縫って、この点数をこう取らなくてはという技術対策談義ばかりでは世の中は変わらないのにと、老年青年の私は苛立った。私が利益誘導ではなくてと言っても「先生、それは理想論ですよ」。と一蹴されてしまう。

 官僚が医師を動かそうとする時、否他の業界もきっとそうだろう、利益誘導法を使う。利益優先といって、今の世の中収益が増えるわけはなく、収益が一番減らない対策を探るというのが現実なのだが。どうもこのままでは収益がじり貧だ。往診料が上がったので往診を始めるかと重い医者の腰を上げさせて、適当な時期を見計らって往診料をがくっと減らすのが、厚労省の常套手段なのだ。こうした言い方は厚労省に失礼かも知れない。「人間て、そういうものでしょ」。「すかしたことを言うな」。というくぐもった声が聞こえる。

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