人には食べ物だけでなく人にも好き嫌いがある。好き嫌いがない方が良いとされがちだが一概にそうとも言えない。というのは、人を嫌わず、誰にも同じように接する人は人との深い関わりを持たない傾向があるからだ。心理学者ではないから研究したわけではないが、私の観察は当たらずとも遠からずだろうと思う。
数多い看護師と働いてきた。冷静で実務能力に優れた看護師は勿論大きな戦力なのだが、好き嫌いがあり機嫌に波のある看護師も頼りになる必要な人材だと感じてきた。好き嫌いの出る看護師は感情豊かなことが多く、患者さんの悩みや苦しみに親身になって関わることが上手にできるように思う。
患者さんは生身なので、痛い時は鎮痛剤を飲みなさいとか甘いお菓子は食べてはいけませんといった説明や指導では受け入れにくいことも多い。親身になった説明や指導の方が効果がある。何が親身かは難しいところだが、患者さんはそれを感じ取るようだ。
多少誇張して書いたかもしれない。冷静で冷たそうに見えても心は感情豊かな人もいるだろうし、好き嫌いに捕らわれ過ぎて中に踏み込めない人もいるだろう。申し上げたかったことは、好き嫌いは簡単に良くないとは言えないということだ。