駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

仕事辞めなきゃよかった

2017年11月29日 | 世の中

  

 今朝は快晴でしかも比較的暖かく、まだ十一月だと思わせる陽気だった。昨夜は気の早い防災関係の忘年会があり、N先生に出てよと言われさほど気は進まなかったが出席した。名ばかりの会員で大したお手伝いもしておらず、二十歳以上年下の人が殆どで、皆さんにご挨拶はしていただくもののどうも話が噛み合わず、これはそろそろ引退だなあと感じたことだ。

 自営業というのは定められた定年がなく、はてさていつ辞めようかなと頭を巡らす年齢になった。患者さんを参考にと観察している。サラリーマンは六十歳が区切りだったようだが、形を変えて六十五まで働かれる人が多く、六十五歳が区切りの人は六十七、八まで延長される人が多いようだ。自営業の人は七十歳を区切りと考えておられる人が多いようだが、何だかなんだと仕事量は減らしてながら七十五歳くらいまで頑張られる人も多い。そうはいっても八十歳までで、八十歳を過ぎてバリバリ?働いておられる人は片手で足りる。三名くらいのものだ。

 自営業の場合は暦年齢よりも実年齢というか、年齢に比して若く見えて活動的な人は長く働かれる傾向がある。勿論、後継者や景気の良しあしなどいろいろな要素があるようだ。あまり表には出ないが女房の顔色というのもあると思われる。

 Mさんはタクシーの運ちゃんで、髪も黒っぽく細身のせいか数歳若く見えていたのだが、以前から決めておられたらしく六十五歳できっぱりと辞められた。辞めると老ける人が多いので、何か趣味がありますかと気がかりでお聞きしたのだが、別にないということだった。案の定、毎日小一時間散歩するだけですと言う日が待っていた。三年経ってごま塩になった頭を傾げながら、「辞めなきゃよかった、毎日女房と喧嘩ばかりです」と苦笑された。ちょっと返す言葉がなく、「あわわ」と言葉にならない言葉を返したのだが、潮時は見極めるのは難しいと改めて感じさせらた。

 ちなみにタクシーの運転手と開業医は七十過ぎても、十分やれる仕事の部類だと思う。

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