遊びすぎでブログの更新が遅れてしまいました。
箱根や山中湖へも行ったのですが、写真も撮らずに遊んでしまいましたので、今日の写真は7月に行った斑尾高原の写真です。
ほとんど満点の相談ケースが届きました。
「満点」というのは、
①脳機能テストがちゃんとできている。
②生活実態が確認できている。
③納得できる生活歴の聞き取りがなされている。という意味です。
質問内容は「MMSは想起ー1、口頭命令ー1 と低下順にも問題なく高得点なのに、『文を書く』でためらいが強くかなかなか書き出せなかったのはなぜか?」
北信五岳のうち朝もやの妙高
確かに、MMS高得点の方の中に『文を書く』で時間がかかる方たちがいます。
その方々のほとんどは、高学歴であったり、左脳優位のお仕事につかれていたりしていることが多いようです。
その方たちの心中を代弁してみると
「『文を書いてください』って言われたけど、まさか『テストを受けています』みたいな単純なことを要求はしていないだろうし、だいいち私が書くのだから、ちょっとは感嘆させるようなことも書きたいし・・・」と勝手に思い込んで、ためらってしまっていることがほとんどです。
もともと『文を書く』が調べようとしている「文を思いつく能力」にも「文を書く能力」にも何の問題もないのです。
テスト状況に対して、自ら勝手にプレッシャーを感じてしまっていると考えればいいでしょう。
「簡単な文で構いません」とか「かなで書いてもいいのです」などと緊張をほぐしてあげることが必要ですね。
この相談例(78歳女性)の前頭葉テストは、立方体模写は苦労して可。動物名想起は(13,1)だったのですが、かなひろいテストは不合格でした。(15,7,不可)
正答数は15とまあまあのようですが、内容把握が「おばあさん」のみ。「とても覚えていられない」との発言もあって、注意分配能力に問題が起きていることがはっきりしました。
脳機能レベルは小ボケ。
30項目問診票でも①②⑦⑧と典型的。
そして生活歴。
2年前に的を絞って聞いても、なかなか生活変化のきっかけが出なかったそうですが、ようやく
「2年前に、隣人が脳こうそくで亡くなった。親しい友人で、結婚以来仲よくしてきた人だったので、他人事と思えずショックだった」
と話されたそうです。
そこで、保健師さんが一安心されたのが目に見えるようです。
ただもう一つ釈然としないのも、同時に感じられます。
その隣人の死が、ほんとうに脳機能の老化を加速させたのなら
「そのお友達が亡くなられてから、あなたの生活はどのように変わりましたか」と尋ねるべきでしょう。
「毎日のようにおしゃべりしたり、たびたび外出や旅行を楽しんだ」とか
「同じ趣味があった」のに、「その楽しい時間が全くなくなって、その代わりのものもない、単調で変化のない生活が、ここ2年間続いている」と聞きとれたら、釈然としない気分は吹っ飛んでしまうでしょう。
そこまで踏み込むようにしてください。
さて、今日のテーマ
「老夫婦二人暮らしの危険ファクター」です。
「夫婦二人暮らしで、片方が中ボケになったら、もう片方は小ボケになる」という原則です。
夫が小ボケの間は、家庭生活には支障がないのが小ボケですから、妻は気にせず外出も趣味も続けられます。 それだけではありません。
小ボケの時は、「これって年のせいかしら」というゆとりがありますが、中ボケになると「これは変…かといって誰に言っても『ボケてるはずはない』といわれるし・・・このまま進んで行ったら私一人ではとても面倒見切れない・・・どうしたものか・・・」と悶々とすることになるのです。
こういう生活は、脳の老化を加速します。
だから、夫が中ボケになったら妻は小ボケになるという原則が完成するわけです。
この方の場合にもあてはまりますね。
相談者の説明で、どこか釈然としなかったのなら、そこの確認が必要だったと思いますよ。