脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

十日町市での学習会ー二段階方式を使いこなす

2015年10月30日 | 二段階方式って?

十日町市では、午後からの講演に先立って、午前中に認知症予防活動に携わっている方々の勉強会がセットされていました。
天気に恵まれて四国の旅を楽しんできました。メインはまだ行ったことがなかった大歩危峡。

担当の十日町市役所のS村保健師さんが周到に準備をしてくださっていて、事前の質問が送られてきました。
とても初歩的な質問から、二段階方式をある程度使って初めて気が付くことまで網羅されていました。ということは勉強会として、参加者の皆さん全員に満足してもらうことはなかなか難しいと覚悟しました。
機内から海ほたるを臨む

勉強会は、まず初歩的な質問に対して「答えてくれる人?」と参加者に答えてもらうことからスタートしました。
マニュアルに説明してあっても、研修会で解説してあっても、実際に検査を始めると「あれっ。ここどうだったっけ」「ここは二度質問してもいいのかなあ」などと疑問がむくむく湧いて来るみたいです。
ちょっと冠雪した富士山

もともと、はじめは脳機能検査をすることに抵抗があるようです。
脳機能検査というと、入学試験のように高得点=良い結果という考えから抜けきれないからでしょう。
二段階方式で行う脳機能検査は、脳機能の状態を知るために行います。だから、よい結果は脳機能が普通に機能していることがわかるだけです。むしろ「できない項目」から生活上の困難さもわかるし、場合によっては(生活実態や生活歴を尋ねていくことで)脳そのものに病変が起きていることすらわかるのです。
二段階方式で脳機能検査をする理由は三つあります。
1.人は脳機能で生活していきますから、生活実態を類推するため。
2.脳が正常老化のラインから外れて急速な老化の道に入ったかどうかのチェックのため。
(正常老化の時にできなくなっていく項目と、老化が加速された時にできなくなっていく項目にははっきりと差があります。このことに触れている主張はまだ目にしたことがありません)
3.脳に何らかの器質的な変化が起きていないかのチェックのため。
伊豆大島

この三つの目的を納得できることが、テスターとしてのスタートラインに立ったことになります。
脳機能検査の結果をもとにした、その次の段階の生活実態のチェック方法と生活歴の聞き取りと、三位一体で二段階方式は成り立っています。
今回の勉強会は少しはその力になったでしょうか?
志摩半島

今回はベテランの方も参加されていました。
休憩時間になってK楽さんが話してくれました。
「なんというか、不思議なくらいですね。『きっかけ』を尋ねると答えてくださるんですよね…そのことを聞くと、それなら生活状態が大きく変わって脳の老化が加速されるということもよくわかる…そしてもう一つ。その『きっかけ』を話したことでなんだかすっきりした感じになられるんです。
小ボケの始まりの方は、『よくぞ聞いてくれた!』というように言われることもあります。『私の困った感じをよくわかってくれた』ってことなのでしょうね」
高知桂が浜

横にいたK玉さんも、言葉を添えてくれました。
「普通だったら、何回か訪問したりお話ししたりした後でないと、話してくださりそうもないことを話してくれるんですよね!」
私も言いました。
「ほんとにここまで、その方の人生の出来事を共有してもいいのかと思うこともありますね」
そこでK楽さんが
「でも、すっきりして少し力が出るんでしょうねえ。それから涙する人がいるのも感動的です。たくさんの方の涙を見ました。
なんと言うか、『おもしろい』というと表現はちょっと違ってくるんですけど、二段階方式で脳機能検査をして生活改善指導をすることは、やりがいのある仕事です」
♪月の名所の桂浜ではなく、大歩危の月

先輩の方が「やりがいのある仕事」と言われてるんですよ。十日町市の皆さん、それぞれの立場で認知症予防をよろしくお願いします。
特に初期の場合は、二段階方式のノウハウは必須だし、また有効です。


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