脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

小ボケの症状1

2013年10月24日 | 前頭葉の働き

最近、耳にした小ボケの症状です。
(「具体的な例はとっても身近で勉強になります」とよく言われますが、エイジングライフ研究所はあくまでも脳機能を測ったうえでレベルを決めるノウハウを持っていて、症状だけで判断しません)

写真は10月初めの北東北
P1000098友 「お約束して友人のお宅に伺ったの。主人と二人で伺いますって。
居間のカウンターにコーヒー茶碗が2客分用意されていたんです。
なのに、いざコーヒーを入れてくださる段になると、なんと私の前だけに出してくださったの。
主人の前には何もない・・・

そのまま話をしばらくしてから、コーヒーのお替りということになった時に、ようやく主人の分がないことに気づかれたんだけど、それがまた変で・・・」

私「恐縮の具合が足りないというか・・・あんまり恥ずかしそうにしないというか・・・」といいながら、「これは小ボケだなあ」といくつかのケースが重なって思い起こされました。

P1000083訪問時刻を決めたうえで 保健師さんと一緒に家庭訪問したことがあります。

ご本人が、挨拶もそこそこに台所に下がってしまったのです。
大きな声で「お構いなく」
「食事も済ませたばかりですから」
「ちょっと時間も気になりますので」などと何度も声をかけたのですが、なかなか出てこられません。
(見通しのなさ。状況判断の悪さ)

しばらくして、ようやくお盆を手に出てこられました。
(手際の悪さ)

保健師さんと顔を見合わせました。
お菓子鉢に、様々なお菓子が山盛り。まるでありったけのお菓子を全部出してくださっているかのようでした。お盆にこぼれたお菓子もあったくらいです。
(小ボケになると盛り付けに心を配るような美的感覚は感じられなくなる)

お茶を口にして、また顔を見合わせました。
ぬるすぎる・・・

P1000079 中身がコーヒーなのに、カップではなくてお湯呑で出されたり、砂糖を取りに行ってなかなか帰ってこなかったり。

暑い時にせっかくジュースを用意してくれているのに、氷が入ってなかったり、寒い時に温かい飲み物が用意されなかったり。

脳機能が改善されていくにつれて、カップがおしゃれになったり、砂糖やミルクの用意がきちんとされるようになります。
おかしと飲み物のマッチングや季節に合った飲み物など、普通の大人ならば「こうする」ようなおもてなしになっていきます。

このようなときに保健師さんから「テストはしますが、しなくてもよくなったって実感できます!」といわれます。

P1000092脳機能で生活しますから、脳機能が衰えるとそれに沿ったことしかできなくなります。
小ボケは前頭葉機能だけが老化が加速されて満足に機能できなくなった状態です。

前頭葉の機能として最初に知らなくてはいけないものは、おかれている状況を判断するということでしょう。
判断したうえで、何をするのか考え、いくつかの中から選択し、実行に移します。
見通しを立てて、順番も考慮し、手際を考え、状況変化に応じて軌道修正もします。

このような機能が低下している・・・と考えると、小ボケの人たちが繰り広げるびっくりするようなことが納得されるのではないかと思います。


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。