脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

2022年度介護費用11兆2千億円をイメージする

2024年02月11日 | エイジングライフ研究所から
今週は、認知症予防活動の指導で小布施町に行きます。各地区に「脳のリフレッシュ教室」を立ちあげていて一番古い地区は今年22年目を迎えます。
講演も何度もしていますから、少し切り口を変えて介護費用の話に重きをおいてパワーポイントを作ってみました。
「脳のリフレッシュ教室」の目的ははっきりして
いました。

つまり正常者に対する認知症予防活動なのです。
もちろん20年も経てば、鬼籍に入られた方も、入院入所なさった方もいらっしゃいます。
ところで厚生労働省が「認知症になるのを一年先延ばしにしてほしい」と言っていることをご存じですか。介護保険にとても多額の国費がかかっているのですから、本当に正直な希望だと思います。
教室参加者の方に聞いてみると、皆さん異口同音にこのように言われます。

「教室に来てみんなと楽しい時間を過ごしていれば、脳がイキイキ元気になってボケずに済みそう」という実感を持っていらっしゃる。
年度末に「今年も一年経ちました。認知症に一歩近づきましたか?」と尋ねると、シャイな小布施の人たちでも「いやいや。そんなことはない。今年も元気に楽しく暮らせたよ」と答えると思います。(今週確認してみますね)
厚生労働省の希望はここに実現しているのですよ!

介護保険は認定のレベルに応じて以下の介護費用がかかります。そのうち自己負担金は1割から3割ですが、認定されたら月額限度額としてこれだけかかるのです。
要支援1:  50,320円
要支援2:105,310円
要介護1:167,650円
要介護2:197,050円
要介護3:270,480円
要介護4:309,380円
要介護5:362,170円
ひとりの人が要介護1になるのが1年先送りされたら、167,650円✖️12月=2,011,800円、200万円セーブできる!200万円(マイナス自己負担金)を国・県・市町村に寄付したことと同じです。延べ人数をチェックしてみたら、すごいことをやってきたと思うのですが、小布施町のこの「脳のリフレッシュ教室」が、どのくらい小布施町の財政に寄与したか調べるよい方法はないでしょうか?

莫大な介護費用を理解してもらおうと作ったパワーポイントです。スクリーンショットがうまく撮れませんでしたからPC画面を写真で撮ったものをあげてみます。
一枚目は左脳に訴える数字をベースにしました。
1兆円を超えたこと、その増加のスピードがだんだん速まっていることなどはわかりやすいと思います。

でも「1兆円」がどのくらいの金額か実感できる人は多分いない…実感できるのは予算作成をする官僚くらいでしょうか?
そこで工夫しました。「1万円札を積み上げていくとどのくらいの高さになるか?」
幸いなことに100万円の新札の札束が1㎝というキリの良さですから、日本で一番高い富士山と比べてもらいます。計算をしてみる時間はなしで、感覚的にとらえた感想を言ってもらいます。
「富士山より高いことはないだろう」から「とても富士山では間に合わないはず」までいろいろ想像できますね。

正答を説明するための次のスライドは、自分のために作ったようなものです。何度も間違いがないか確認して、最終的に愕然としました。

もちろん地学的な用語は検索してみました。
・対流圏は雲や雨などの天気現象が起きる層でだいたい10㎞の高さ。上空ほど温度が下がる。
・成層圏は大気の対流が起こりにくく温度は上昇していく層でだいたい50㎞まで。境界にあるオゾン層で紫外線を吸収。
・中間圏は、温度が再び下降していく層で、だいたい80㎞までの高さ。マイナス100度。流れ星はこの層で起きることも知りました
・そしてその先は熱圏。1200度ともいわれる高温のこの層は広大無限の宇宙空間につながっている…
11兆円は110㎞なので熱圏に入ってるんですよ。ここはオーロラの世界。一万円札が宇宙空間に拡散されて見えなくなっていくシーンが胸に迫ってきて、私はこの図で圧倒されましたが、小布施町の皆さんにもう少し実感していただく方法はないかと模索して、今度は100万円の札束を横に重ねていく(もちろん札束は立てて)と、長野駅から新幹線でどこまで行けるのかを調べてみました。
小布施駅と長野駅の距離が17.5㎞ですから、それを足して合計で110㎞の駅。
上りは安中榛名駅。下りは糸魚川駅。

どちらの方が、たくさん使ってしまっているかを実感できるでしょうね?それは見る方が決めることですが、とにかく毎年毎年これだけの札束が消えていっているという現実を、私たちは知らないといけません。
最後に、介護保険は認知症高齢者だけに使われているものではないことを確認しておきたいと思います。厚労省HPより
ちょっと前までは、脳血管障害が最多だったのですが、とうとう認知症が最多になってしまいました。
あまりにもわかりやすいことですが、認知症の場合は最初から対応に苦慮する重度の認知症状を出すわけではありません。「いったん完成された脳機能が、全般的に低下して社会生活、家庭生活に問題が起きる」という定義からして、さかのぼれば普通の社会生活をしていた時があるわけです。
もちろん権威ある筋はアミロイドβなどの変性疾患として理解しているのですが、エイジングライフ研究所は脳の使い方が足りない生活、特に前頭葉の出番がない生活実態そのものが脳の老化を徐々に加速させていくものであり、世に言われるような認知症症状が出てくるまで5年以上はかかると主張しています。
他の疾患は、選択の余地のない介護状態が避けられませんが、現在は症状が重くならないと認定されない認知症だけが、予防的福祉の対象になり得るのです。


















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