脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

米沢市「なごみの部屋」再訪ー「高専賃ではないのです」

2010年11月22日 | 米沢市「なごみの部屋」の実践

11月初めに「なごみの部屋」をお尋ねしました。介護保険対応の在宅介護サービスを行っている会社です。脳機能テストの見方など一緒に勉強してきました。

ところで高専賃という言葉を知っていますか?
最近この言葉が注目されてきています。来年になるともっと皆さんの耳目に触れることが多くなるでしょう。
修善寺虹の郷菊花展2010_1106_151400p1000285_2 

正確に言うと、高齢者専用賃貸住宅のことで、以下の条件を満たしていれば介護保険の対象施設になれるというものです。
私は、最初にこの言葉に出会ったときに「米沢市なごみの部屋が始めたのはいつだったかしら?あの発想に世の中が追いついてきた」と思いました。
そのくらい最初に
なごみの部屋の我妻社長さんから理念を聞いた時には、すごいと思うと同時に膝を打つ思いもしました。2010_1106_152800p10002962010_1106_153600p1000305_2  

その我妻さんから伺った話です。
「病院から退院をせかされているお年寄りがいました。いったん入院してしまったら、家族が受け入れられないというお年寄りも、部屋を孫が占領して帰る部屋すらなくなってしまうお年寄りもいるのです。
どうにかしなくては!と思ったのです。
一方で、大学生対象の下宿をやっていたのですが、学生がマンションを好むようになって空き部屋が多くなって困っている大家さんがいました。
そこに高齢者をお願いしたらどうだろうと思いついたのです。
各部屋も高齢者向きに手を入れてもらって、食堂を兼ねたデイルームも作ってもらいました。その他、必要な点は大家さんに要求し、住居が完成。

お年寄りは大家さんと契約します。そしてなごみの部屋が大家さんから管理委託を受けて、高齢者の食事・風呂・掃除・通院などのお世話は行い、家賃はきちんと責任を持って大家さんに支払うというやり方です。原則デイサービスを併設して、脳リハビリにも組み込んでいます」
(ここにエイジングライフ研究所との接点がありました。どのような状態なのか。状態がいいのか、改善されているのか否か、客観的な見方が必要ということです)2010_1106_152900p1000299_2

行き場所がなく困っていた高齢者、家賃収入が途絶えていた大家さん、そして、お年寄りをどうにかしてあげたかった我妻さん。三者三様の満足に至れるなんて、すごい!と我妻さんの知恵に感動しました。

私にとってはこれこそが高専賃。
我妻さんに「初めて伺ったのはいつだったでしょうか。もう5年くらい前にもなりますか?世の中が追いついてきましたね」といったら
「いいえ、なごみの部屋がやってるのは高齢者専用の提携アパートです。高専賃の条件は居室が8畳。その広さがないのです」

高専賃。世の中は新しく高専賃用の建物を建てて動かしていくのでしょう。(この辺は無知ですので、あくまで類推ですが)
何故、我妻さんのようなあちらとこちらを生かしあうというような発想がないのでしょうか?

なごみの部屋のパンフレットからImg_0001_3

事業活動は、ニーズに合わせて拡大していきました。
家にいるお年寄りにもサービスがいるし、病気の人には訪問看護が、介護保険のケアプランもなどなど。施設はなるべくお金をかけないように工夫の限りを尽くしています。

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我妻さんが魅力的なのはさらにその次です。
「高齢者を見ていると、お世話を充実させるだけでなく、もっと元気にしてあげたいと思えてなりません。ご本人やご家族だけでなく国のためでもありますね。そのためには・・・」
そこで私
「元気な人に対して、前頭葉や右脳を使う場面を用意してあげるともっと元気になります」
そこから始まった「かくしゃくの会」

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「脳と体の健康教室」というのですから、当然脳機能チェックは実施しています。
今回そのデータも見てきましたが、改善が明らかでした。担当者の方たちが鼻高々という印象も当然でしょう。

「仕事をしていると、障害者の方へのサービスもどうしてもいるのです。
いろいろな好条件が重なって、お菓子を作ることにしました。最初はなごみの部屋で使うおやつができればいいと思って始めたのです。(こういう発想も大切です!)
今は和菓子のなごみ庵にはお茶会用菓子の注文が来るようになりました。洋菓子なごみーるのプリンは先日東京で行われた障害者の事業所が作るコンペで好評で東京から注文が来ることになりました」

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必要なものを、工夫や知恵を出し合って実現させていく姿勢には、いつも学ばせてもらっています。

今回は皆さんと勉強しました。2010_1104_181300p1000261左端我妻さん

たくさんの脳機能テストの結果がありました。ここまで実績があると脳機能が生活実態と生活歴を表すということが確かに実感できるでしょう。

個別のケース検討は、解釈がちょっと複雑だったり、質問が的確で、テストが使えるようになってきていることがよくわかりました。
そういえば、9月の実務研修会には二度目の受講をなさった方もいましたね。二段階方式は使える、そしてもっと使いこなしたいということなのでしょう。
脳機能からその人を理解するという姿勢がなごみの部屋に根付いてくれましたね。これからもがんばってください!