脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

脳リハビリのコツ―小布施町手作りゲーム

2015年12月12日 | 認知症からの回復

アッという間に師走も半ば。1か月も前になりますが小布施町地域包括支援センターに伺いました。
町で行う基本調査で、ちょっとでも気になるところがある方たちに、センターで実施するプレ認知症予防教室(体験型)に参加するように誘うそうです。各地区で自主的に行われている教室に入るのにちょっと躊躇している人たちに、教室の意義や目的の説明もちろん丁寧にするのですが、とにかくどのようなことする場所なのかを体験してもらうための教室と説明してくれました。
認知症予防教室のカリキュラムは「とにかく楽しくて時間があっという間に立ってしまう、次回が楽しみ」でないといけません。当然右脳中心になりますね。歌、造形的なこと、ゲーム、体操、社会科見学、茶話会etc…
千年樹の里まつりにも、もちろん参加してましたよ。これは工作ですね。

さて私がうかがったときには、ゲームで盛り上がっていました。

一人ずつ、お手玉ボールを5球もらって、数字ボードに投げつけて外れたらそれが得点になるのです。

簡単に書きましたが、皆さんが楽しめる工夫が随所に見られました。さすがに認知症予防教室を10年以上も指導してきたスタッフがいる町です。
・参加者を2班に分けて、団体戦にしている。
個人戦だと不得手な人は楽しめない。団体戦でカバーできても勝ち負けがあることは、集中を高め目標もはっきり持てますね。
・ボールを手作りお手玉にしている。
何度も使ってなじんでいる。ボールよりも手触りよく投げやすい。
・ボールが1球でない。
1球勝負でなく続けて投げられることで、うまくいかなった時に練習効果も期待できるし、意欲アップにもつながります。
・得手不得手又は男女で、スタート線をずらしている。
全員に同じようにする公平性は、経験も能力も差がある高齢者には通用しません。


それぞれの立ち位置が違いますね。スタッフやボランティアさんたちが結構盛り上がって応援していました。もちろん参加者の皆さんは自分のグループの応援に熱が入ります。
結果発表の時は大騒ぎ。

数字ボードが絶妙な落ち方をするので、見に行きました。マジックテープを使った手作り品でした。うまい具合に落ちてくれるようにと何度か試行錯誤もしたそうですが、結局脳リハビリをする時には「ちょうど能力にあっているもの」という条件があります。
過不足ないものを提示するためには、よくよく観察しなくてはいけないのです。その時のコツは、行動から脳機能を類推するという点でしょう。いつも強調することですが、話されている言葉だけに頼っては、何の問題もないことになってしまうことがたびたび起こります。やっていることを見ると、判断力にも遂行能力にも問題を発見できることが多いのです。
今回はまだまだお元気な方が中心ですが、脳機能も体力的なこともよく見ているなあと、感心しました。
この日は、スタッフのお話しと、歌いながら手遊びを入れたいくつかのゲームで盛り上がったところで、メインの数字ボード落とし。
その後に「今度は太鼓です」というスタッフの声に太鼓があったかしらと思う間もなく、段ボールが配られました。(そうそう、お茶とお菓子の時間もありました)

箱は壊れていいそうです。ストレス解消にもなるのでは(笑)
男性の方で群を抜いてお上手な方がいました。聞けば、お祭りの時お囃子をやり続けていたとのこと。表情も明るくイキイキと楽しんでいらっしゃいました。この方にとっては「お囃子」が最も効果的な脳リハビリ。できたら演奏するだけでなく、例えば小・中学生に教えて、伝統の継承を図るようなことにつながると、本当の生きがいになると思いました。

脳リハビリのテーマを見つけるには、繰り返していいますが、観察が第一。愛情を持ってよく見ることです。
若いころからの趣味や生活を細かく知ることも大切でしょう。
そして、やってみなくてはわからないこともあります。その時の注意点は「上手かどうかではない。楽しめるかどうかが認知症予防教室の物差し」ということをスタッフが十分理解したうえで、参加者の皆さんにお伝えしなくてはいけません。
小布施のスタッフの皆さんには感服しました。


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