長野県東御市へ行ってきました。
K山看護師さんが
「絶対午前中に来てください。10時過ぎには来てください。見てもらいたいことがあるんです」
その口調の底に、自信や喜びが感じられたから
「わかりました。がんばります!」と言ってしまった私。
伊豆からだとちょっと大変なのです。東京まで二時間、それから 長野新幹線で上田まで行って、信濃鉄道で田中へ戻ります。
駅に着くと、K山さんがにこにこしながら待っていてくれました。
車で4~5分でしょうか。小高い丘の上を、きっと新しく開発したのでしょう、緑にあふれた素敵な環境の中に建物群があります。
福祉や保健を担当する建物の中に入って課長さんに挨拶をしてさっそく二階へ。
住民検診が行われていました。
この写真の右手前①で受け付けをします。
そして血圧測定、身長・体重測定、血液検査その他、この広いホールを反時計回りに回って終了です。
「脳いきいき度チェック」
事前に希望を取っておくのだそうですが、部屋には4名のスタッフが検査と生活指導のために待ち構えています。
検査を受ける人たちが途切れたときには、部屋の外で
「今ならお待たせしなくて済みますから、ちょっといきいき度チェックをなさいませんか」と「呼び込み」をすることもあるそうです。
この部屋の隣は ⑧健脚度測定。それで今日の検診は終了なのです。
ここでは、若い男性スタッフが測定をしています。
やさしくキビキビと測ってくれます。
a:最初は入口から始めて部屋の対角線上10Mをできるだけ早く歩く。
c:その先には、線があってその線上を足をくっつけながらバランスを崩さないように歩いて行く。
d:最後が踏み台昇降。
そばでK山さんがささやきます。
「cが上手にやれないと転倒の危険が大きいし、高さがバスのステップと同じにしてあるのでdができないことは外出が難しいことになります」
確かに健脚度も生活の質を左右しますね。
でも、もっと左右するのは脳機能だと言おうとしたときに、男性スタッフが測定を終了した方に
「、この検査は終わりましたが、ついでにこちらの検査も受けましょう」
(といったかどうか、あまりにもスムーズでよく聞き取れませんでした)と言いながら、肩を抱くようにしてあっという間に手前の「脳いきいき度チェック」の部屋へ連れて行ってしまいました。
部屋の外の「呼び込み」よりももっと楽に脳いきいき度チェックにつながるのは、きっとスタッフの方と1対1対応をしてもらい、時間を共有したという思いと、信頼感があるからではないかと思いました。
またK山さんの弁
「健脚度測定で引っかかった人は、こうして脳いきいき度チェックに回すようになってます。そうすると大体なにかあるんですよね」
さて、脳いきいき度チェックのお部屋では、小ボケの入り口の方が多く見つかり(これは当たり前でしょうね。自主的に検診に来ているくらいの方たちですから)結構感動的な生活指導がなされていました。涙を流す人もいましたよ。
脳いきいき度チェックの部屋の写真をもう一度見てください。
スタッフが立っているのはPCの前。
そうなんです。今検査したデータをすぐにテスターが入力して、必要なページを印刷して手渡した上で生活指導をしていました。感服!
小ボケの入り口の方たちは、信じられないくらい自覚があるし、また何をきっかけにして生活が変わり、脳が老化し始めたのかを説明できます。そこで、脳の老化を加速させないようにという生活指導がなされるのです。
認知症の一次予防が、ここ東御市では実行されていることが納得できました。
導入に尽力したY浦保健師さんをはじめ、ここまでにした何人もの皆さんのお顔が浮かびます。