原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

思い起こせば、私も「過多月経」だった…

2020年01月22日 | 医学・医療・介護
 娘が小学校時代に、地元公立小学校よりPTAによる「下校時パトロール」との業務が課せられた。
 その時ペアになった、娘の同級生のお母上とパトロールしながら会話をしたのだが。
 お母上曰く、「小6の娘に未だ“生理”が来なくて心配している…」
 それに私が応えて「まだご心配なさる年齢じゃないと思いますけど。」
 お母上「原さんちの〇〇ちゃんはもう始まっているんですか?」 
 私 「ええ、始まっていますけど、あんなもの遅い方がラクで良かったのにと思っているくらいです。」

 それに一瞬驚いたお母上「えっ??? どうしてですか? 女の子にとっては大事な事だと思いますが…」
 おっしゃる通りであり、私が反省して、「失礼申しました。 実は私自身が“過多月経”だったため娘時代に苦労の連続で、生理に良い思い出が何も無いんです…」


 実際、我が“過多月経”ぶりはもの凄いものがあった。

 私の生理開始は中一だったのだが、未だ始まって時が経たない頃にブラスバンド部の夏合宿と生理が重なった。
 合宿も後1日を残す朝方の事だ。 目覚めると、持参した布団や毛布が血だらけだ!  (こんな時に生理が始まるなんて…)と未だ12歳の私は泣きそうになりながらトイレに駆け込むと、当然身につけていた下着類のすべてが真っ赤っ赤状態! それを急いで着替えして…
 ただ、合宿も最終日だったことに助けられた。 まるで殺人事件かのごとく多量の血に染まった布団や毛布類・下着類を急いで丸め込み、そのまま家へ持ち帰った。
 それを見た母が洗ってくれたのはよいものの。  「何でここまで汚すの! だらしない!」  母とて単に無知で悪気は無いのだろうけど、これが辛くて辛くて…
 
 その後もこの失敗の繰り返しだ。 
 何故か今生理が始まったら困る時に、私の生理は始まる。😰  
 
 例えば、高校時代の“野外合宿”の時もそうだった。 全員トレパンを着用させられるのだが、どういう訳か当時そのトレパンの色が「白」なのだ! この白トレパンが真っ赤に染まったのに気づいたものの、すぐさま着替えする訳にもいかず… ついに泣き始めた私に、級友がこっそりと「泣くな! 泣くと余計に目立つ。 私が後ろについて隠してあげるからとにかく泣くな!」 (Thank you  …)と思いつつ涙が止まらなかったものだ… 

 あるいは医学部時代の付属病院検査室実習時にも、白衣に生理の血が滲んだことがある。 その時は既に病院職員であられた先輩が、これまたこっそりと「白衣に患者さんの検体の血がついたようですよ」とフォローして下さった。 私自身の生理出血であるのは明白だが、とにかくすぐに白衣を着替えに行かせてもらえたのはラッキーだった。

 高校までの学校の制服は紺色だったことに助けられた。 スカートを汚しても目立たずに済んだ。 あるいは私服の時は、生理中は絶対に薄色の洋服を着ない事が閉経まで身に付いていた。  昔テレビにて「あの日も白…」と歌う生理商品のCMが流行った事があるが、私には無縁の世界だった…。

 社会に出て、同じく“生理過多”の同輩と出会った事がある。 その女性とその対策に関して色々話し合えたのが収穫だったものだ。  夜間はどうする? ナプキン3枚重ね、等々…  殿方には永遠に分からない話だろう。
 現在では、生理ナプキンも場面に合わせ進化を遂げているが、当時はそうではなかった。 どれほど苦心して、出血過多状態を乗り越えてきたことか。

 私は医学関係者であり、自分自身で自分の血液像を顕微鏡で見る機会も多かった。  実際、末梢血に赤芽球が観察出来るほどの貧血状態を余儀なくされていた。 これが自己申告で“生理過多”がその理由だと主張しても、いや単に栄養不足だ、鉄分が足りていない等々の自己責任論の反応が、同じく医学関係者の同僚等から返ってくるのも悲しかった…

 その証明が出来たのは、高齢にて妊娠した時だ。 
 妊娠すると、必然的に生理が止まる。 これが何と楽ちんなのだ!  いや、人並みにつわりはあったが、何と言うのか、身体がまるで生き返ったがごとく軽やかだった。 今まで苦しめられ続けた“立ちくらみ”も一切無い。 本当に元気な妊婦時代を過ごせた。

 そして閉経後。
 私の血液のヘモグロビン値は、閉経後ずっと正常値を保っている。 (いや、現在では定期検診を受けない主義のためその値を知らないが、感覚的に生理に苦しめられ続けた現役時代の辛さが嘘のごとく一切無い。)  参考だが、我が生理があった時代のヘモグロビン値は基準値の約半分程でずっと経緯していた。 末梢血に赤芽球が出現しても不思議では無い程の貧血状態だった…

 
 我が“過多月経”失敗談義が続いたが。
 今回、このテーマでエッセイを記そうと志したきっかけは、朝日新聞2020.01.18付「ひどい痛みや貧血、病気かも」と題する女性の月経に関する記事を見たことだ。

 何故か、この種のメディア情報は昔から少ない。
 女性に特有の「生理」に関して語ることが、今尚メディア界に於いて御法度なのか???  そんな事は無いと信じたいものだが…
 よくぞまあ、朝日新聞は毎月訪れる「生理」に苦しむ女性に光を当ててくれたものだ。
 この種の記事が、我が「生理現役時代」にも公開されていたならば、どれだけ勇気付けられた事かとも思う。

 とにかく、女性陣よ。
 生理とは女性のみに与えられた、特権だ!
 
 もしもご自身に毎月訪れる「生理(月経)」に関して異常性を抱いたのならば、すぐさま専門医を受診される事をお勧めする。
 今の時代は、その要請に医学・医療現場が応えてくれるはずであると信じたい。