本日のエッセイは、2025.06.18付朝日新聞「時事小言」より国際政治学者・藤原帰一氏による「イスラエルのイラン攻撃 核開発 武力で阻止できぬ」より引用させて頂く。
早速以下に、その一部を引用しよう。
いま攻撃すれば、戦争に勝てる。 軍事力で優位にある、あるいは優位にあると思い込んだ政治指導者が仮想敵国に先制攻撃を加えた先例は、朝鮮戦争第3次中東戦争、ロシアによるウクライナ侵攻など少なくない。 イスラエルによる6月13日未明のイラン攻撃もそのひとつである。
イスラエル首相ネタニヤフは当初、イラン攻撃の目的としてイラン核開発の阻止を掲げ、イスラエルの自衛行動として正当化した。 イランによる核開発の危険は以前から指摘されており、国際原子力機構(IAEA)理事会も6月12日にイランが核不拡散義務に違背しているとの決議を採択している。 だが原子力施設への攻撃は国際法に違反する。 さらに今回の攻撃対象には市街地の民間施設が数多く含まれている。 核開発阻止だけでなく、イラン政府の弱体化と打倒、レジーム・チェンジを目標とする戦争である。
既にパレスチナ自治区ガザはイスラエル軍の攻撃によって灰燼に帰し、レバノン南部を事実上支配するヒズボラも弱体化した。 シリアではイランと結びつきてきたアサド政権が崩壊した。 イランの軍事影響力は後退していた。 (中略)
米国の圧力も恐れる必要も無かった。 米国はイラン攻撃は回避するようにイスラエルに牽制を加えてきた。 トランプ政権も核開発制限交渉をイランと開始した時点では従来の政策を引き継いだ面がある。 だがトランプは第1期政権においてイラン核開発宣言6か国合意から脱退しており、これまでの政権と比べてネタニヤフ政権支持の姿勢が明確だった。
ここから、イスラエルがイランを攻撃しても米国はイスラエルに圧力を加えない。それどころかイラン攻撃で戦果をあげながら後追いするかのように米国はイスラエルを支援せざるを得ない、ネタニヤフ政権がそのように期待できる状況が生まれた。 トランプ政権がイラン攻撃を拒む努力をした後は少ない。
イラン攻撃はネタニヤフ首相の政治的延命の戦争だった。
イスラエルはイランよりも優位に戦争を進めるだろうが、ネタニヤフの期待する勝利がすぐ訪れるとは考えにくい。米軍との協力が無ければミサイルによる攻撃だけで核施設すべてを破壊することは難しい。 トランプ政権がイスラエルとの共同軍事行動に踏み切ったとして協力する範囲はわからない。(中略)
16から17日、カナダで開かれたG7サミットの共同声明は地域の不安定の主な原因はイランであるとし、イスラエルによるイラン攻撃の批判を避けた。 サミット後の米国は改めて核開発放棄をイランに求めるだろうが、イスラエルと共同でイランを攻撃する可能性も高い。
イランの核開発を認めてはならないが、武力で攻撃すれば協議によって核開発を阻止する可能性は失われてしまう。 日本の岩屋外相はイスラエルによるイラン核施設攻撃について、軍事力が用いられたことを遺憾とした。 私(藤原氏)はこの立場を支持する。
ネタニヤフが始めた戦争は世界各国を巻き込んで拡大しつつある。 日本政府は戦争のエスカレートの阻止を世界各国に求めてゆかなければならない。
(以上、朝日新聞「時事小言」より一部を引用したもの。)
原左都子の私見に入ろう。
上記引用文中の最後に近い部分の、<日本の岩屋外相はイスラエルによるイラン核施設攻撃について、軍事力が用いられたことを遺憾とした。>
この発言に関しては関しては、この原左都子も大いに支持したい!!
岩屋外相なる人物をさほど知らないのだが。 よくぞまあ岩屋氏の口からこの発言が出たものと、拍手を贈りたいものだ!
それにしても、トランプ大統領だが。
こやつ(と呼びたくもなりませんか、皆さん!?!?😡 )、実に今までの米国大統領の中で最悪の存在であり、表面上は威張り腐っている割には何らの役にも立たない奴だ! としか評価できない思いが強く、悔しさすら感じさせられる。😖
元々トランプ氏とはイスラエル支持派だったようだが。 それにしても、トランプ政権がイスラエルのイラン攻撃を拒む努力を一切していないとは、米国大統領としては考え得ない事実では無かろうか??
とにもかくにも、本文中に書かれている通り。
ネタニヤフ(イスラエル首相)が始めた今回の戦争は、世界各国を巻き込んで拡大しつつあるのが事実だろう。
藤原氏がおっしゃるとおり。
日本政府も今後 、ネタニヤフ氏が始めてしまったイラン攻撃との戦争のエスカレートの阻止を、世界各国に求めて行かねばならないであろう。