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窯変鉄耀花入れ |
窯変金結晶釉薬作りが終了し、
続いて窯変鉄耀釉薬(天目、結晶釉薬)の製造に取り掛かった。
釉薬作りには時間がかかり、加えて水も大量に使う必要がある。
この頃の日中の気温は20度を越えるか越えないか、のいずれ。
水を扱っていても冷たさを感じるほどでもなく、丁度良いくらい。
今回の窯変鉄耀釉薬原料の総量は、約34キログラム。
かなりの量となるが、いままで使ってきた釉薬の総量がずいぶんと少なくなったので、
他の釉薬同様、鉄耀釉薬作りも始めた。
この窯変鉄耀釉薬も金結晶釉薬同様、大変気難しい釉薬である。
焼き上がりが一定せず、ばらつきが多いのが難点の釉薬なのです。
窯焚きをし、いざ火を止める段に近づいてきたとき、
その火を止める瞬間を数分まちがえると、すべて失敗に。
わずか3~5分の誤差で釉薬が流れてしまうのです。
流れた釉薬は棚板にべっとりとくっついてしまうのです。
丁度アイスクリームが流れるように・・・当然作品はすべて失敗に。
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朝 ・ リンドウ |
窯変金結晶釉薬25キログラムを作り終え、
釉薬作りの製造場所となっているロクロ場を徹底的に掃除し、
窯変鉄耀釉薬の原料を正確に測ってすべてを混合した。
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昼 ・ リンドウ |
硬い原料もあれば、すぐに水に溶けてくれる原料もあり、と様々。
時間を掛けて混ぜ合わせても、それらの原料は中々順調には混ざってくれない。
混ぜ合わせる機械を連続して使えるのは、せいぜい10分くらいだろうか。
両手で取っ手を握り締めている私自身も疲れてしまう。
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夕方 ・ リンドウ |
作業の手を休め、工房の外に出てみた。
ああ、今の時季の庭には花が無いなあ、と山茶花(さざんか)を観察した。
山茶花の向こうには、つぼみが少し膨らんだ「 侘び助 」がほんのりと色づき始めていた。
これからは気温が下がると同時に、これ等の花が咲き始めるのだなあ、
そう思って木々の中を見ていたら、もう絶えてしまったと思っていた「 笹リンドウ 」。
去年もおととしも、その前の年も咲かなかった「 笹リンドウ 」。
今年の夏は異常な暑さで、花らしいものは何も咲かなかった庭だったが、
何故かリンドウが復活してくれた。 これはきっといいことがあるに違いない、
必ず良いことがある、そう信じて朝、昼、夕方のリンドウの変化を観察した。
リンドウは夕方には花がしぼんで、朝日を受けると花びらが開き、
夕方にはまたしぼむ、それを繰り返している。
つい数日前に気づいた「 リンドウ 」、
今なお美しい花を見せてくれている。