創作日記

 青磁作品を中心に創作しています。
  陶芸作品が出来るまでの過程を、
   日常の暮らしを通して紹介しています。

窯変紅彩(辰砂)作品

2014年04月10日 | 日記

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   工房前


情熱の赤、心の思いがほとばしる様な赤、辰砂作品焼成の準備を行った。
天気が良かった先日、工房の前、そして車のトランクの上が乾燥場になった。

辰砂には様々な色合いがあり、私が求める色は複雑に絡み合った赤。
現在の私の心境、熱い心の思いが表現できればと準備を行った。
慎重に、更に丁寧に素焼き作品に釉薬を掛けた。

乾燥が速く進むようにと、釉薬を掛け終えた作品を工房前へ。
愛車の黒い車体も熱を持ち、乾燥が順調に進んだ。
そして6日、日曜日、早朝から窯焚きを行った。

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   ミカン樹と富有柿


長時間に渡る窯焚きを終え、後は温度が下がるのを待つだけ。

次の作品焼成の準備をしながら、天候と風の向きを確かめた。
畑のミカン樹、殆どと言っていいほど消毒をしないので、スス病が発生した。
晩秋の収穫時期近くになると、ミカンの表皮が黒くなってきた。

表皮はススがかかったように黒くなってしまうが、中身は普通の甘いミカン。
けれど触ると手が黒くなる。 母が寒風の中一つ一つ洗っていた。
「 頼むから消毒して、」と言われるが、無農薬を押し通している私、
タワシでゴシゴシと冷たい水で洗っている母、その姿に負けてしまった。

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   消毒


消毒を撒くには条件があり、
天気の良い日が3~4日続くこと。
そして風が殆ど無い日を選ぶ事。

運よく、朝から良い天気で無風状態が続いた先日、
野菜等に消毒薬が掛からないようにと、ビニールシートを準備し畑へ。

風が無く、のんびりとした春の風情。
近所の畑の人たちも畑仕事にいそしんでいた。

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   ブロッコリー


風は無いけど万一を考えて、ミカン樹近くの野菜にシートを被せた。
そして消毒開始。 ミカン樹は全部で4本。全て終わるまで2時間半要した。
消毒は今回で3回目。 あと1回必要な感じもする。
とりあえず様子を見る事にした。

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   辰砂作品


さあ、いよいよ辰砂作品の窯出し。
試験発表を見るがごとく、ハラハラドキドキしてしまう。
この辰砂(窯変紅彩と名づけている)、失敗か成功か?

中間の色合いは私が求める作品ではない。
私独自の赤の発色が出ていれば窯焚きは成功。
6日から3日も経過しているのに、まだ200度も温度がある。

どうしても気になるので、ほんの少しの隙間から覗いてみた。
あっ、赤い色が見えた、それも窯変している。 もしかしたら上手くいったか?
すぐ扉を閉め、完全に温度が下がるまで待つ事にした。

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   窯変紅彩壷(辰砂)


そして今日午後、窯開きを行った。
なんと、奇跡が起こった。それぞれ趣のある赤い発色の作品が焼きあがった。
同じように釉薬を掛けたが、一つ一つが異なった赤い発色をしていた。

S氏の介護中、何とかして辰砂作品を焼いて欲しいと頼まれた。
ためらったが、S氏の希望を叶えられるようにと願い、心して窯焚きを行った。
この辰砂壷(窯変紅彩壷)初めての趣、そして風情のある焼き上がりになった。
S氏が望んでいた辰砂、早速S氏に見てもらった。

情熱いっぱいの辰砂作品、来月の仙台・藤崎個展に出品する。
思い、願い、生きる、祈り、芽生え、全部が表れた作品、
どなたかの心に響いてくれれば幸せこの上ない。


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