私が、社会人になって初めての給料で買ったレコードが、当時、発売直後のバーンスタイン指揮ウィーンフィルによるベートーヴェンの交響曲全集。
そして初めての冬のボーナスで買ったのがワーグナーの楽劇「ニーベルンクの指輪」の全曲盤。ショルティ指揮ウィーンフィルによるデッカ盤。3万円だった。自宅へ持って帰る時、たいへん重たかったことを、よく憶えています。レコード店を出る時、店の従業員全員、出口で見送ってくれたことをよく憶えています。そのレコード店も数年前、倒産しました。時代の流れを強く感じます。
ベートーヴェンの交響曲全集もワーグナーの「ニーベルンクの指輪」全曲盤も、CDの時代に入って、私の社会人1年生の頃では考えられない安価で手に入る時代になった。本当に驚きである。
さて私は「ニーベルンクの指輪」は、ショルティ指揮の全曲レコードを手にするまで、年末のラジオのFM放送でのバイロイト音楽祭の放送でしか全曲を聴くことが出来なかった。
対訳も持っていなかったので、たいへんでした。
「ジークフリート」を初めて聴いた時、第3幕の大詰め、ジークフリートとブリュンヒルデの2重唱で「ジークフリート牧歌」のメロディが流れた時、歌詞は解りませんでしたが、たいへんな感動を憶えました。今も、この部分になると、同じ感情になります。
「ニーベルンクの指輪」の中で「ジークフリート」第3幕のブリュンヒルデの目覚めから最後までが、私は一番好きです。
今は仕事の関係で「ニーベルンクの指輪」全曲を通して聴く時間はありませんが、そのような余裕を持ちたいものです。