オペラファンの仕事の合間に パート2

大好きなクラッシック音楽やフィギュアスケート、映画などを語ります。メインは荒川静香さんの美しさを語るブログ。

クナのワーグナー

2009年01月15日 14時23分19秒 | 今日、聴いたCD
ワーグナー 楽劇「ニュールンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲
ワーグナー 歌劇「タンホイザー」序曲
 
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
(国内盤)ウエストミンスター MVCW18001(1962年ミュンヘンでのスタジオ録音)

ワーグナー 「ジークフリート牧歌」

ハンス・クナッパーツブッシュ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
DVD(国内盤)TDKコア TDBA-0063 (1963年ウィーンでのライブ映像)

久し振りにワーグナーを聴きたくなった。やはりワーグナーとなるとクナの録音を聴いてしまいます。ミュンヘンフィルとのワーグナーの管弦楽曲集(ウエストミンスター盤)はもう何度聴いたかわからない。高校生時代、初めて購入したワーグナーの録音でした。きっかけはレコード雑誌で音楽評論家の宇野功芳氏が激賞していたのが購入理由でした。いざ聴いてみると、たいへんゆっくりとしたテンポについて行けず、また残響の乏しい録音に嫌になったのが当時の私でした。その頃の私はまだカラヤンが中心だったので、カラヤンの演出たっぷりの演奏と全く逆の世界のクナの演奏に入っていけなかったのも、しかたない時代だったかもしれません。しかし、その収録されている録音の中で「ジークフリート牧歌」の演奏だけは何かひかれるものがあり何度も聴きました。
CDの時代に入り、このウエストミンスター盤も見事のCD化され残響が乏しいと思っていた録音もオケの素朴な音色を忠実に再現されているようで私にとって大切なCDとなりました。ゆっくりしたテンポの中で「マイスタージンガー」前奏曲の表現や表情の豊かさ、「タンホイザー」序曲の底知れぬスケールの大きさが手に取れるように聴こえてきます。

前者の2曲を聴いたあと、クナの指揮姿を見たくなりDVDを見ました。クナのワーグナーの映像は、この「ジークフリート牧歌」のあと演奏された楽劇「ワルキューレ」第1幕の映像が有名ですが、どうしても歌手が中心の映像でクナのアップの映像が少ないという贅沢な?不満があるので映像の鮮度は落ちますがクナの表情をたっぷりと見ることが出来る「ジークフリート牧歌」のDVDの方が好きです。
オケはウィーンフィルですがミュンヘンフィルとのスタジオ録音と同様、素朴で心に浸みる録音である。最後のコーダの感概深さはクナの表情共々何と表現したら良いのでしょうか?
クナの生前の楽員に「今夜は、私のタクトをよく見ていてくださいね」と言った言葉があります。タクトの中に演奏する作品のテンポ、音色、表情などが全て伝えるものがあるという事であろう。1963年のクナの指揮姿は、けっして派手なものではなく、また受け狙いのショーマンシップは皆無であるが、ちょっとした顔の表情一つに曲の真髄を摑んでいる者の凄みを感じます。
そして1963年のウィーンフィル。この前の元旦のニューイヤーコンサートのウィーンフィルと楽員は全く違う。たいへんな年月か経っているので当たり前である。一つだけ大きな違い。楽員の面構え!現在のウィーンフィルは世界の著名指揮者のオンパレード、演奏回数も違うという事もありますが1963年当時のウィーンフィルはまだ本当に楽員が指揮台に立ってほしい指揮者のみ指揮台に立たせていた時代と聞いています。楽員の気骨が違っていた時代と言うべきかな?
今回の映像でのコンサートマスターはワルター・バリリである。(確か1966年のザルツブルク音楽祭のベーム指揮の「フィガロの結婚」の映像でもバリリの姿があったように記憶しているが・・・)この当時のコンサートマスターはボスコフスキーがたいへん有名ですが本当にウィーンフィルの顔は誰だったのだろうか?とDVDを見ながら、ふと考えさせられました。