水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

隠れたユーモア短編集-10- 理想と現実

2017年07月29日 00時00分00秒 | #小説

 言うは易(やす)く行うは難(がた)し・・の格言(かくげん)どおり、理想と現実は違う。そうなれば、いいなぁ~…と思っても、現実はそれを許さない柵(しがらみ)でそうなることを妨害(ぼうがい)するのだ。
 テレビ画面を見ながら、定年退職した男が奥さんに言った。
「母さん、こういう旅もいいよな」
「…理想ね。でも、現実はお金と暇(ひま)がね…」
「だよな…。俺も芸能デビューしたいよっ!」
「そりゃ、そうだけどさぁ~。こんなのんびりしてらんないわよっ。売れっ子は休めないそうだし…」
「嫌な仕事も断れないか…」
「そうそう! 理想と現実は違うのよっ」
「それにしても、昨日(きのう)のスキ焼の肉は美味(うま)かったなぁ~。高かったろ?」
「ふふっ! タイム・サービスの安いお肉っ。理想と現実は違うのよ」
 現実は違っても、安いお肉に調理が加わると理想の食事になるのである。

                              


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 隠れたユーモア短編集-9-... | トップ | 隠れたユーモア短編集-11... »
最新の画像もっと見る

#小説」カテゴリの最新記事