水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

それでもユーモア短編集 (97)回転

2019年06月15日 00時00分00秒 | #小説

 地球は回転しているようだ。^^ というのも、私自身が回転している…と実感したことがないからである。回転する機械の中なら眩暈(めまい)するほど感じるのだろうが…。回転しながらの食事は、さぞ疲れるだろうし、食べられないかも知れない。^^ で、回転を実感しないから食べていられる・・ということになる。実感はないが、それでもお日さまが東から昇り、夕方になると西へお隠れになることで、朧(おぼろ)げながらも回転しているんだ…と感じる程度なのである。そして、その回転が繰り返され、月日が経(た)ち、年が経って時代が経っていく。経ってはいくが、回転しているから、おやっ? こんなこと、前にあったぞ…と繰り返しに気づかされる。ただその繰り返しの現象や流行は、過去とは違い、少し進化した形に姿を変えて社会に現れる。要は、回転寿司のような回転はしていないという訳だ。^^
 とある駅の改札である。片田舎(かたいなか)から出てきた一人の客が駅員に訊(たず)ねている。
「あのぉ~、いつになりゃ~ドコソコへいけるんで?」
「ああ、ドコソコへ行かれるんですか? でしたら、この電車で大丈夫ですよっ」
「ほんとに大丈夫なんで? ここで下りるの、二度目なんですがのぉ~」
「二度目? どういうことでしょう?」
「いやぁ~、知らねぇ~うちに、またこの駅へ戻(もど)りよりましてのぉ~、ははは…」
「あっ! ああ!! 分かりました。ははは…それはですね、この線路が回転しているからです」
「回転? そげにややこしい電車なんですかいのぉ~?」
「いや、環状線(かんじょうせん)ですから、ややこしくはないと思いますが…」
「そうは言われますがのぉ~、戻りよりましょうが…」
「いえ、戻るまでにアレコレで乗り換えます」
「あ~あ~、アレコレで乗り換えて、で、ドコソコでしたかのぉ~」
「ははは…そうです。回転し過ぎです」
「回転し過ぎよりましたかのぉ~、ははは…」
 回転すれば同じ所へ戻るが、それでも途中で抜け出せば、新しい展開が回転し始める訳だ。^^

                                  


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