水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (34)意思

2022年11月05日 00時00分00秒 | #小説

 自分の意思が他の人に伝わるよう人は会話をする。分かってもらえなかったり違う主張で反発されれば、気分がいいはずがない。そんな場合、めげないで主張しようとする。それでも伝わらなければ、人は諦(あきら)めてガックリと肩を落とすことになる。ただ、諦める度合いは、人によって程度が違う。めげない人は自分の意思を長く主張し、めげやすい人は、すぐに諦めてしまう訳だ。^^
 とあるテレビ局の番組で、二人の論客が討論をしている。
「ラムダですよ、ラムダっ! ラムダロケットじゃないんですよっ!」
「それくらい、私だって知ってますよっ! コロナでしょ!?」
「そう! コロナっ! 古い車の車種じゃありませんよっ!」
「分かってますよ、それくらいっ! 馬鹿にしなさんなっ! で、あなたの意思は、どうなんですっ!? やられるんですかっ!?」
「やるもやらないも、私にはそんな能力はありませんっ! あるのは医学関係の方々だけでしょ! 国政のトップだって、これだけはどうにもならない…」
「そう! 医学研究者だけです、出来るのはっ!」
「しかし、終息できるかは、その方々の意思でも、でしょ!?」
「はい、こればっかりは…」
「まあ、地道な努力で、めげることなく研究していただくしか手はありませんね…」
「そうですね…」
 お互いの意思の主張は、いつしか消え、医学研究者に結論は下駄が預けられた。
 めげない意思は、先々の可能性がなければ、可能性がある人に委(ゆだ)ねられ、消えてしまうようだ。^^

                   完


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