水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (54)体調

2022年11月25日 00時00分00秒 | #小説

 誰しも体調がよくないときはある。怪我をしている、身体の調子が余り芳(かんば)しくないetc. 状況は様々だが、修理あるいは改善しない限り体調が回復しないのは明々白々である。具体例を一、二あげれば、よく眠れない、余り食欲がない・・などがある。この一、二が関連している場合だってある。よく眠れないから睡眠不足で食欲がない・・といった関連だ。だったら、よく眠ればいいじゃないかっ! という話になるが、人の世はいろいろ[残業など]あって、そうもいかないから困る訳である。^^
 霞が関にある、とある官庁の、とある課である。別の課の居下尾(いかお)は、とある課の田子山(たこやま)に用がありザックリと課内へ入ってきた。
 「田子山さんは…あれっ!? いらっしゃらないっ! 君、知らないっ!?」 
「田子山さんですかっ? 田子山さんは体調が悪くなられ、検査の結果、ウイルスの陽性反応で、もっか入院中ですが…」
「それは、怪(おか)しいだろっ!? だって、この前、二度目の接種したって言っておられたぞっ!」
「そうでしたか…。でも、陽性で入院されているのも事実ですから…」
「って、ことはだっ! ワクチン打ったからって100%大丈夫な訳じゃないんだ…」
「ええ、みたいですね…」
「それじゃ治療薬じゃなく、予防薬じゃないか…」
「私に言われても…」
 女性職員の江美根(えびね)は困り顔で居下尾を窺(うかが)った。
「そりゃまあ、そうだ…。君に言っても仕方がないな。どこの病院だい? 見舞いがてら、別の日に見舞ってみよう」
「屋土仮(やどかり)総合病院ですが…」
「ええっ! 屋土仮かいっ!? 屋土仮はいけない、いけないっ!? だってアソコはこの前、院内感染でクラスターが発生したろっ!?」
「私に言われても…」
「体調の回復も簡単にはいかんなっ! ワクチンまだでよかったぞ…」
「まだ、だったんですかっ!?」
「そうだよ。まだ、まだ…。僕はねっ! 治療薬しか打たないのっ!!」
 江美根は、めげないそういう人なんだ…と、馬鹿にするでもなく、尊敬するでもなく思った。
 めげない体調の管理方法には個人差があります。^^

                   完


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