水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

めげないユーモア短編集 (33)落とす

2022年11月04日 00時00分00秒 | #小説

 不注意で持ち物を落とすことが、たまにある。なにも自己弁護するつもりはないが、私にも当然あって残念でならない。集中力が欠けている証拠で、無性に自分自身が腹立たしい。そういう失敗をするなっ! するんだったら出るなっ! と、今日も自分自身を戒めているところである。買い物で持ち物[身に着けた所持品を含む]を落とした{見えない}者は懲戒解雇処分とし次第だ。自身には厳(きび)しいのである。^^
 とある家族の夫婦がキッチンで話している。
「今日も、おうどんを落としたわ…、どうして落とすのかしらっ?」
 主婦は、めげたような声で言うでなく呟(つぶや)いた。
「そら、お前。集中力が切れてるから落とすんだろ? 決まってるじゃないか、ははは…」
「だわねっ…」
 夫に笑われた主婦は益々、めげた声になった。
「めげないで、買いものが終わったあと、袋に入れるレジ前で確認すりゃいいじゃないか。紙に書くとかしてさ…」
 夫は主婦がめげないよう優しげな声で宥(なだ)めた。
「そうねっ! 次の買い物からそうするわっ!」
「ああ、そうしな…」
 それ以降、主婦は落とすことがなくなった。
 不注意で物を落とす場合は、めげないで知恵を絞れば、いい訳だ。^^

                   完


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