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如き その二

2009年12月08日 | book & comic
だだっと読み終えて終わるかなぁと思っていたんですが、
先日の記事につける表紙画像を探していたところ、
なんと次回作が今週に出るらしいので、これも買い求める予定。

たいしたコトではないけど、
「厭物」~「山魔」は共通する登場人物こそあれど独立した話なのですが、
どうやら作品内の時系列は異なるようで。
刊行されている四冊を古い順に並べると、
「首無」→「山魔」→「凶鳥」→「厭物」であってるハズ。
「首無」の作中では主役である刀城氏は殆ど登場しないんですが、
チラリと現れた際に、山魔伝承への興味が生まれ、予定を変更して向かったという記述。
「山魔」の最後で「凶鳥」の舞台である鳥杯島(兜離の浦)へ行きたいと漏らす描写。
今の所は「厭物」へ逆行するようなカタチでシリーズは続くんだけど、
お次の「水魑」ではどうなることやら。


■首無の如き祟るもの

事前に調べた中では、一番評価が高かったのがこの「首無」。
構成の都合とはいえ、主役兼探偵役が殆ど出てこない作品の人気が高いというのは、
出しゃばり過ぎだと言う読者側の意識なのかも。
いわば民俗学怪奇ミステリ、などと分類したくなるこのシリーズゆえか、
犯人探しに価値を見出す人よりも、
箱庭の中で起こる怪異な現象に惹かれる人の方が多いのかも。

んで読んでどうだったかと言えば、
素直にこのシリーズの中では一番面白いと思える出来でした。
過去の事件を回想するという手法もあってか、
当事者達にすれば正に複雑怪奇な連続殺人事件で一度は幕を終えるワケで、
解決編でそれをどう解きほぐすのか、というのが見物でもある。

同シリーズの他作品と比べると、
探偵役が居るにも関わらず起こる連続殺人、という要素がないせいか、
怪奇色は薄めと言っても良いかも。
確かに奇妙なんだけど、登場人物の関連性もあって、
人知を超えたモノよりも人間臭さが勝る事件だったかなぁ、と。
解決編でも当時の事件に関わった人間はほぼ出てきてないのですから、
現実的な解釈で謎解きに挑む以上、ウリの怪奇性が薄れるのは仕方ないか。


「凶鳥」の解決の仕方について先日は言いたい放題言いましたが、
今作ではすっきりと収まってますね。文句なし。
刀城氏は当事者ではないため、いつもより推測に頼る点が増えるんだけど、
それでも「凶鳥」と比べれば十二分に納得させられる。
最後のオチもこのシリーズらしくない終わり方ですが好印象。
ここまで含めて「人間臭い」と思ったのかもね。



■山魔の如き嗤うもの

順調にシリーズとして伸びてきた証ですかね。四作目。
「首無」より作品の舞台が関東地方に移ったせいか、共通語で非常に読みやすい。
自分は関西生まれの関西育ちですから、関西弁に親しみはあるんだけど、
それでも文章に直すと途端に読みづらくなるからなぁ…

ってことで。
今までの事件だと、「厭物」は憑物筋の跡取り問題が絡んでて、
被害者に見做されたのは村の神様「カカシ様」。
「凶鳥」は消失がメインですが、強引に挙げるなら大鳥様ですね。
「首無」では首を斬られた死体のオンパレードなんですが、
首無伝承の元とは特に関係ないかもね。
そう考えていくと、童唄になぞらえて起こる連続殺人という一点で、
この山魔は光る点がある。

なぞらえると言うのは重要で、海外でもアガサ・クリスティを始め、
マザー・グースの子守唄を用いた作品は多い。
子供が遊ぶ唄の通りになぞらえられて起こる事件は、
それだけで怪奇の臭いがグンと上がるモノです。
増してやその舞台の中心が忌み山となると…

自分の母親の実家は奈良山にありまして、
道路もあるし民家もあるし、自衛隊の訓練施設もあるしで、
割と開けた方なんですが、それでも山は怖い。
夏の夕暮れなんか何が起こってもおかしくない雰囲気はあるもんね。
「山魔」の舞台は四方を山に囲まれた村ですし、
棄老伝説に山女郎、忌み山の山魔と素材は充実。
金脈目当ての村人が殺されるなんて事件も過去にあって、
そんな風景を思い浮かべるだけでガクブルできます。


前三作と比べると煮え切らない結末ではありますが、
最初から最後まで怪奇色の濃さを貫いてるんは「山魔」のみでしょうか。
「~如き~」シリーズの中ではあっさりと読める作品でしょうし、
まずは「首無し」で興味を持って、民俗風習的な要素を求めるなら「厭物」、
あっさりとした刀城氏と事件を読みたいのなら「山魔」に手を出せば良いのかも。



引き続き作品内容とはあまり関係のない雑談。
表紙イラストは全四作通して村田修氏が担当。
「厭物」「凶鳥」のようなギミックは無いけど、「首無」の表紙は一番のお気に入り。
また機会があれば三津田氏の短編集「赫眼」にも触れようと思うんですが、
こちらもイラストは村田氏が担当。この不気味さは嫌いじゃない。
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