雑感の記録。

秋の夜長はダラテンで

トップ


ロア部 動画目録

2020 / 2018~2019 / 2017 / 2015~2016

Youtubeのロア部にアップされている対戦動画の目録になります

ブラッディロア3対戦会の予定は上のバナーから確認できます
(ARCADEiSMのイベントカレンダーページへと飛びます)

ファイル置き場

置いてあるもの
・風雲STBと堕落天使の動画 (だいたいニコニコに上げたもの)
・アルメセラ年代記に出てくる家系の周期表
・ブラッディロア3のキャラ別フレーム表

3/25
・まだ寒いので履歴をクリア
・ブラッディロア3のフレーム表(calcで作ったヤツ)をアップ

身構えていても結局騙されているということ

2009年12月07日 | book & comic
先々月になりますか、「十角館の殺人」「葉桜の季節に君を想うということ」を読んで、
その後間髪入れずに読んでた二冊でお茶を濁そうかと。
濁す茶が無いとか言わない。


■我孫子武丸 「殺戮にいたる病」

華麗な叙述トリック。
解説で触れられているような、この作品のもう一面の見方がある点も含めて、
まっこと潔く男らしい豪快さで突き落としてくれた。
迫るべき犯人の名は明かされ、エピローグに幕を開けるという手法を用いてなお、
この作品には騙されるほか無かった。
お美事にございまする…

作品の内容は読めばわかるからいいや。
粗筋が背表紙に書いてあるからそれを読めばいいさ。
「タイトルに惹かれた」という理由もあるけど、
読むまでは「名前が一人歩きしてるんじゃねーか?ああン?」とか思ってました。
ごめんなさい。

扱われてる内容が異常性欲者による連続猟奇殺人事件ですので、
そういった描写が苦手な方は注意を。
しかしながら、このテの話が苦手な人間でも読む価値は絶ッッッ対にある。
もう何に触れてもネタバレに繋がりそうだし、大人しくお口チャックマンになります。
ミステリ好きは死ぬ前に必ず読むんだッ!!



■殊能将之「ハサミ男」

題材の奇妙さと読み心地の軽さの妙。
これは快作であり怪作でもあるわ…

まずタイトルのインパクト。
ハサミ+男ですよ?潔いにもホドがある。
実際、他の作品でいう探偵役はハサミ男だしな。
本作は一連の連続猟奇殺人事件の犯人であるハサミ男の視点と、
ハサミ男を追う警察側の視点を交互に絡めつつ進行しますが、
ハサミ男の一挙一動は難解でして…
本当は恐怖の連続殺人犯なんだけど、どこか親しみが持てるというか。


連続猟奇殺人事件の犯人は、自殺願望に加え多重人格妄想気味で、
死にたいクセに悉く自殺に失敗し続け、
その度に出てくる「博士」にケラケラ笑われ馬鹿にされ。
バイトで生計を立てる傍らで、夜毎ハサミを磨き続ける…
やっぱり何かしら常軌を逸している面もあるんだけど、
良い感じにドライでどこか達観された文体のおかげで、クスクス笑いながら読めます。
笑ってる対象は殺人犯なんだけどね。


語り口の軽さでちょっと思い出したのが伊坂幸太郎。
ブログでは触れてないものの、「死神の精度」「アヒルと鴨のコインロッカー」は
以前薦められて読みました。
「死神の精度」は別にミステリじゃないんでアレですが、
「アヒルと~」にも共通した軽快さが印象に残った。
登場人物は小気味良くキビキビ動くんだけど、決して読者を置いて行かない。

引き合いに出すと色々面倒がありそうなんですが、
「殺戮にいたる病」「被告A」は終結に向かうスピーディーさが気持ち良かったし、
「アヒルと~」「ハサミ男」は主人公のマイペースさが心地良い。
別に上の作品二つが読者を急き立たせるってコトはないけど、
下の二つは終始緩やかに進む分、ミステリ未経験者でも親しみやすいかと。
挙げた四作は全て二人以上の視点を交えた構成になってるんですが、
まぁどれも面白いことに変わりはないか。
味わいをスピーディーでスリリングな展開に見出すか、
訥々としながらも軽快に進む、いわば散歩チックな展開を好むか、
その辺の違いだとは思います。
本を読む以上、みんなどっちも好きだとは思うがな。


何だかまたズレてきた。
「ハサミ男」の軽快さには散々触れましたが、
その軽快さに一役買ってるのがメシの描写。
作者である殊能氏自身が料理好きということも起因するのか、
シンプルながら読んでて腹が減るという表現の上手さ。
単純に小説読んでるだけで腹が減るってのは中々無いですよ?
殊更に力を入れてるワケではなく、かといって脱力してるワケでもないけど、
自殺に挑戦するハサミ男も、その自殺に失敗してはTVを点けて食事を取るハサミ男も、
どっちも同じに描かれているから面白い。
もし手に取る機会があれば、その辺に注目して読むことをお勧めします。

Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする