真実を知りたい-NO2                  林 俊嶺

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アレクセイ・ナワリヌイ死亡の報道に見える国の姿

2024年02月21日 | 日記

 メディアには、読者や視聴者に真実を伝える責任があると思います。
 ロシア政府が16日、ナワリヌイ氏が北部シベリアの刑務所で意識を失い死亡したと発表し、ロシアの刑務所当局も、声明で、ナワリヌイ氏が「散歩後に気分が悪くなり、直後に意識を失った」と説明したといいます。救命措置もほどこしたということです。
 にもかかわらず、テレ朝は、ロシアと対立するウクライナのゼレンスキー大統領が、「プーチンは望む者は誰でも殺す。ナワリヌイ氏が殺害された後、プーチンをロシアの合法的な元首と見なすのは馬鹿げている」と非難したことだけを伝えました。私は、根拠を知りたいと思ったのですが、示されませんでした。

 また、朝日新聞は17日夕刊で、”ナワリヌイ氏死亡 バイデン氏が追悼 「死の責任はプーチンに」”と題し、下記のように伝えました。
バイデン米大統領は16日、ロシアの反政権派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が死亡したと伝えられたことを受けて、急きょホワイトハウスで演説した。「驚きはないが激怒している」と語り、「間違いなく死の責任はプーチン(大統領)にある」と断言した。
 バイデン氏はナワリヌイ氏の活動について「勇敢にも汚職や暴力、プーチン一味によるあらゆる悪事に立ち向かった」と語った。また、毒殺未遂に遭った後もロシアに戻ることを選んだとして、「プーチンにはない多くのものをもっていた。法の支配が存在するロシアをつくることに身を捧げた指導者だった」とたたえた。
 プーチン氏については「いまウクライナで見られるように他国の市民を標的にするだけでなく、自国民にもひどい罪を犯している」と強く非難した。ナワリヌイ氏の死因については「何が起こったのか正確にはわからない」と述べた。
 バイデン大統領は、最後に言い訳めいたことを少しつけ加えてはいますが、基本的には、ゼレンスキー大統領と同じように、プーチン大統領の責任を問う根拠は示していません。メディアは、そのことをきちんとつけ加える必要があると思います。
 そういう意味で、テレ朝や朝日新聞のゼレンスキー大統領およびバイデン大統領の発言に関する報道は、読者や視聴者に真実を伝える責任をきちんと果しているとは言えないと思います。根拠を示さず語ったことも含めて、読者や視聴者に伝える責任があると思うのです。そうでなければ、陰謀論が国際社会を動かしてしまうことに加担することになってしまうと思います。
 
 またメディアが、その後も連日、ゼレンスキー大統領やバイデン大統領の主張を支持し、補強するような報道を続けていることも目に余ります。
 朝日新聞の「素粒子」の欄には、”ロシアの極寒の地にナワリヌイ氏死す。どんな悪魔のささやきにも屈せず「諦めないで」と笑顔で照らし続けた”などとありました。
 さらに朝日新聞は、その後社説でも、「ナワリヌイ 弾圧国家が恐れた勇気」などと題する記事を掲載しました。ナワリヌイを持ち上げ、じわじわとロシアを追い詰めていくような報道だと思います。 

 アメリカやイギリスがやってきたことをふり返れば、とても受け入れることはできない報道です。特に、アメリカがくり返し国際社会を欺瞞してきた過去を、なかったことにするような報道だと思います。

 アメリカが、国際社会に発する政治的情報は圧倒的です。そして、ロシアや中国に関する政治的情報は、大なり小なりプロパガンダがらみだと思います。
 Twitterには、ナワリヌイが、ロシアでカラー革命を引き起こすために、MI6(イギリスの秘密情報機関)将校ウィリアム・フォードに、年間1000万ドルを要求したという、下記のような情報がありました。


”Video of Alexei Navalny asking MI6 Officer Ford for $10Million a year to start a color revolution in Russia.”(https://twitter.com/i/status/1758637374140195144)は削除されていましたが、こちらにありました(https://twitter.com/search?q=%2410Million%20a%20year&src=typed_query)。


 この情報が真実かどうかは、私にはわかりませんが、無視できません。頭の片隅に置いて、今後の展開を見ていく必要があると思っています。なぜなら、都市から遠く離れた北極圏の極寒の地に拘束されているナワリヌイ氏を、プーチン大統領が、今、殺さなければならない差し迫った理由はないのではないかと思うのです。むしろ、ウクライナ戦争の支援で行き詰まり、局面を打開したいのは、アメリカやウクライナ、NATO諸国の方ではないかと思います。だから、私は、まったく逆のことを想像してしまいます。
 西側諸国、これほどナワリヌイ氏の死亡にこだわるのは、彼が、ロシアを撹乱し、プーチン政権を転覆するというアメリカの戦略に欠かせない重要人物であったからではないかと想像します。

 先日も触れましたが、ウクライナ戦争が始まった当初、毎日のようにメディアに登場し、解説をしていた大学教授や専門家と言われる人たちは、皆、同じようなことを話していたと思います。ウクライナ戦争は、独裁者プーチンが、ウクライナ領土を奪い取るために始めたというような内容でした。
 ウクライナ戦争の経緯を解説したり、どのようにすれば停戦に持ち込むことができるかというような話は、ほとんどなかったのです。だから、ロシアを孤立化させ弱体化させたいアメリカの戦略に沿うような解説だと思って聞いていました。
 ウクライナ戦争の背景を理解するために欠かせないろいろいろな事実、例えば、ロシアのウクライナ侵攻(特別軍事作戦)に関わるプーチン大統領の侵攻前の演説、マイダン革命の実態およびアメリカの関与、ウクライナを巻き込んだ大がかりなNATOの軍事訓練、ノルドストリーム2に関連するアメリカのロシアに対する制裁の実態や経過、ウクライナの大量破壊兵器の存在、NATOの東方拡大の経過や実態などの話はほとんど聞くことがありませんでした。
 解説はいつも、プーチン大統領の野望の内容や由来、ウクライナに対する支援の必要性、両国が使用している武器の性能、考えられる両国の作戦、戦況などだったと思います。
 だから私は、解説を聞くたびに、日本がアメリカの影響下にあることを強く感じていました。


 圧倒的な経済力と軍事力を誇るアメリカは、豊富な資金をもって、アメリカの方針に沿う考え方を深めたり、研究したりしようとする優秀な人物に、必要な情報や研究の場を与え、活躍することのできる職場や役職を準備して育てているのだと思います。そして、アメリカの政治的な情報を発信する学者や軍事の専門家を育成しつつ、そのネットワークを拡大してきたのだと思います。

 そうした人材育成システムが、日本でも、アメリカと連携して機能するようになっているので、ウクライナ戦争の解説に出てきた専門家や大学教授が、皆、同じように、アメリカの戦略に沿う解説をしたのだろうと想像します。
 だから、日本の大学もメディアの中枢も、そうした「アメリカ国務省閥」とか、「アメリカ軍産閥」でもいうような人たちの勢力が強くなり、日本の国際政治に関わる報道は、ほぼ「アメリカ国務省閥」あるいは、「アメリカ軍産閥」の人たちによってもたらされることになってしまったのだと思います。だからかなり偏っており、真実は伏せられていると思います。アメリカに不都合な報道は、ほとんどないのです。

 ロシア政府が、ナワリヌイ氏が死亡したことを発表するや、死亡原因がはっきりわからない段階で、即座に「プーチンが殺した」「プーチンの責任だ」と騒ぎ立てたゼレンスキー大統領バイデン大統領の反応の仕方に、人命尊重の観点からではなく、とにかく、敵対するプーチン政権を潰したいという姿勢がはっきりあらわれていると思います。
 毎日毎日、女性や子どもを中心とするガザのパレスチナが死んでいるのに、本気で止めようとせず、支援を続けてのがアメリカであることに目をつぶって、ナワリヌイの死亡関する憶測報道を続けていては、世界が平和になることはないと思います。

 だから、こだわっていろいろ調べるのですが、「日米安保条約」の第六条に基づいて定められた、「日米地位協定」の第二条には、下記のようにあります。
”第二条【施設・区域の提供と返還】
 1(a) 合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。個々の施設及び区域に関する協定は、第25条に定める合同委員会を通じて両政府が締結しなければならない。「施設及び区域」には、当該施設及び区域の運営に必要な現存の設備、備品及び定着物を含む。
  (b)合衆国が日本国とアメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基づく行政協定の終了の時に使用している施設及び区域は、両政府が(a)の規定に従って合意した施設及び区域とみなす。
以下略
 この条約によりアメリカ合衆国は、当時の国務長官ジョン・フォスター・ダレスが語った「望む数の兵力を望む場所に望む期間だけ駐留させる権利を確保」したのです。
 わかりにくい表現ですが、 「日本国内の施設及び区域の使用を許される」ということは、どこでも、自由に使う、ということなのです。特定の施設区域ではないのです。こうした日本の主権を否定するような条約の締結をさせたアメリカが、「民主国家」の代表のような顔をして、ロシアや中国と敵対していることを見逃してはならないと思います。
 また、第四条には下記のようにあります。
第四条【施設・区域の返還のさいの無補償】
 1 合衆国は、この協定の終了の際又はその前に日本国に施設及び区域を返還するに当って、当該施設及び区域をそれらが合衆国軍隊に提供されたときの状態に回復し、またその回復の代わりに日本国に補償する義務を負わない。”以下略
 なども、随分、日本をばかにした規定だと思います。借りているという意識ではないのだと思います。
 沖縄県民は、広大な基地の存在のみならず、こうした不平等条約によっても、さまざまな苦難を強いられている現実を、しっかり受け止める必要があると思います。

 

 

 

 

 

 

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