今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

東濃の高放射線帯を走る

2013年06月22日 | 計測

全学対象の『安全学』の担当授業を終え、
わが定宿(じょうやど)、岐阜・中津川にあるホテル花更紗に”湯治プラン”で滞在する。

温泉ソムリエになって初の温泉であるため、
今までとは違った玄人的態度で温泉を楽しみたい(これについては追って記事にする)。

幸い、”お篭り”を要する論文原稿も締切はまだまだ先。
今日の安全学を終えて、新たに作成すべき講義ノートもなくなった。
そして昨日の茄子日のうかれた気分に、
本日の富士山世界遺産祝賀も加えて、おおいに心身を開放したい。

さて、定宿へのドライブルートは、毎回同じ「中馬ハナノキ街道」(国道363号)なのだが、
年に幾度も通っているこの道沿い(瀬戸市から中津川市まで)が、
日本有数の高放射線地帯であることを、産総研の「地質図Navi」(すごい情報量)のサイトで知った。

そうと解れば、私の幾つもある正体の1つ「計測マン」として素通りするわけにはいかない。
今回温泉旅の目的の1つに、ハナノキ街道沿いの放射線量の計測が加わった。

愛車ローバー・ミニの屋根に革の旅行鞄をくくりつけ、
小さな車体に似合わぬ重いエンジン音を響かせ出発。
助手席に福一原発事故で活躍したガイガーカウンターを立て掛け、スイッチを入れっ放しにする。

ちなみに私のガイガー(アメリカ製Inspector+)はγ線だけでなく、
α線もβ線も(X線までも)あえて拾うようにしてあるので、
他のγ線のみの計器より線量が高めに出る(その方がいい)。
その測定では、勤務先や棲み家のある名古屋東端は多くて140 nSv/h(ナノシーベルト時)
(以下同単位。ちなみにμSv/h(マイクロシーベルト時)で記すと0.14)。
私は、自然放射線はμSv/hの1/1000のnSv/hで表すべきだと思っている(μSv/hは放射線事故時の屋外)

まずは、瀬戸市から山を越えたばかりの岐阜県土岐市鶴里町雨沢にある白鳥神社前。
ここは(尾張・三河・美濃にまたがる)三国山北麓ののどかな里山。

適当に決めた計測ポイントで停車して車外に立ってきちんと計測する(高さを地上1mに固定)。
放射線は確率論的現象であるので、本来は5回計ってその平均値を出すのだが、今回は数分間表示している間の最大値を記すと、253(以下同じ方法)。
名古屋ではいくら最大値でも200は絶対越えないので、やはり高い。

さらに進んで、最近日帰り温泉施設がオープンした曽木温泉前の足湯付近で215。
ちなみに曽木温泉の泉質は「放射能泉」。

瑞浪市に入るとハナノキ街道自体は陶(すえ)のバイパスから明智に向かうのだが、
これだと回り道になるので、私は山岡に抜ける間道を通る
(しかもNaviによると明智付近は周囲より放射線量が低い)。

その道沿いにある白山神社脇の池がお気に入りスポット。
その池畔で測ると、なんと300を越えた。
池畔に氏子たちがわざわざ置いた「止氏岩」が花崗岩質で、
その岩にガイガーをかざすと395まで上がった。
はやり花崗岩のしわざか。

中津川市に入り、阿木の上の広岡という風光明媚なお気に入りスポットで239。
根ノ上高原の入り口で251。
ここから恵那山の麓に降りる有名な酷道(!)部分は工事中で通行止めなので、
根ノ上高原から中津川に降りた。

Naviの地図上でもここから先は一段低い地帯。
実際、中津川市神坂にあるホテル客室内(4階)で最高170。

以上の結果、ガイガーを持参しながらも今まで素通りしてきたハナノキ街道沿いは、
ことごとく200nSv/hを越えていた。
ちなみに地質図Naviではこの一帯は、γ線だけの値で「127nSv/h以上」という国内最高ランクの分類。

200nSv/hといえば、2011年3月17日、すなわち福一事故の放射能塊がやって来た東京の実家付近で計測した値だ。
その感覚でいえば、顔面蒼白になる異常値だ。
といっても、実は関東はローム層のせいでもともとが低いのだ。
世界的には、東濃もそれほど気にするほどではない。
実害がないことは昔から人が住んでいるこの地の住民がご存知のはず(後日、岐阜県の市町村別ガン死亡率のデータを確認したところ、東濃諸市と他地域との差はなかった)。