今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

民間事故調の報告書を読んで

2012年03月21日 | 東日本大震災関連
日本で原発を再稼働するなら、その”最低条件”は、
まず福島原発の事故を総括して、その反省に基づいた(安全神話から脱皮した)施設と管理運用体制の改革を実行してから、
というのが常識”だろう。
それを待っていては今年の夏が乗り切れないという意見もあるが、
こんなこと消費税論議の前に早急にやっておくべきことでしょう。
だが現状は、国の事故調査報告書がまだ出ていない段階。

以前の記事で予告していたように、一足先に公開された民間事故調の報告書
『福島原発事故独立検証委員会 調査・検証報告書』(一般財団法人 日本再建イニシアティブ)を読んだ。
はっきり言って読みやすさと視点の幅広さでは、前に紹介した『FUKUSHIMAレポート』の方に軍配が上がる。

こちらの本は、原発事故そのものの経緯や被害より、管理体制の問題点に重点が置かれている。
あと、取材拒否をした東電を除く関係者からのインタビューが生々しい。
その部分を読んで感じたのは、
当時の菅首相の暴走的な言動を引き起したのは、
東電経営陣・保安院・安全委員会のヘタレっぷりにあったということ。
これらが実質的に機能停止状態だったから、国のトップと現場が独自に動かざるをえなかった。

あと、当時政府内で想定された”最悪の事態”が具体的に紹介されている。
その事態とは、連鎖的な爆発が起きて、今回は無事であった4号機の使用済み燃料までが破損して、
大量の放射性物質が飛散するという状態。
その結果、170km以内は強制移転(地表1480000Bq/m2)となり、250km以内は任意移転(555000Bq/m2)となる。
すなわち、東京が今の福島市・郡山市のある”中通り”並の状況になり、福島県は無人となる
(戻れるのは何年先かわからない)。

実は、昨年の今ごろ、私はかたずを呑んでこの最悪の事態になる確率が減ることを祈っていた。
今はなんとか安定しているが、もう一度大地震がくれば、骨組みだけになっている4号機の建屋が崩壊する可能性がある。

福島原発以外の原発だって、今のヘタレ体制ではおおいに危険だ。
消費税をいくらにしても追いつかない損害の方を、まずは予防しておくべきなんじゃないの。