今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

震災がれきの広域処理の限界

2012年03月05日 | 東日本大震災関連
宮城・岩手の震災がれきの広域処理の困難さが問題になっている。
東京と名古屋の二ヶ所に足場のある私にとって、この問題は二重の反応になる。
東京都民(住民票上)の立場でいえば、石原都知事の(半ば強引な)がれき受け入れは、原因が東電という後ろめたさもあって、賛成する。
たが、名古屋市民として(市民税を払っている)は、あんな遠いところからの放射線のあるがれきを濃縮してこの地に埋め立てることに違和感をおぼえる。
この違いは何か。

端的に、距離感、そしてこの地の線量に依るといえる。
自然放射線量を考慮するとややこしくなるが、東京は福島原発からの放射線をもろに受け、名古屋はその範囲外といっていい。

今のマスコミの論調では、がれき受け入れを反対する住民に対して、どちらかというと批判的なスタンスに見える。
確かに、客観的には、宮城・岩手のがれきであれば実害は発生しない。
私自身、放射線に対する人々の過敏な反応に忸怩たる思いがあるため、
過敏な反対者に対して、「この”放射脳”が!」と一喝したくなる。

ならば、たとえば、外国からの放射線が含まれているガレキを、日本が受け入れて、
近所に埋め立てる場合はどうか。
あるいは、東京にとって、宮城・岩手ではなく、”福島”のがれきは、同じ気持ちで受けれられるだろうか。

もっと分かりやすく言えば、アカの他人の唾液や他の分泌物が混入した食べ物を、
客観的には「身体に害はない」と言われても、
食べる気持ちになれるだろうか。

タバコを吸わない私が、喫煙者の副流煙を嫌悪すのも同じ心理である。
1吸気分の副流煙が自分の健康を害するとは思わないが、だからといって平然と受け入れられるものではない。

宮城・岩手はがれきの問題だが、福島はもろに汚染土の問題になる。
たとえば原発周辺の双葉郡の汚染土を福島市や郡山市に持っていって埋め立てることは可能だろうか。

がれきを含めた汚染度の処理は、次の大原則に従うしかない。
すなわち、より値の低い所には移動せず、より値の高い所に移動する。

だから、宮城や岩手のがれきは、すでに汚染されている関東が受け入れるしかない
(実際、千葉のがれきが秋田で拒否された)。
善意は義務ではない。
箱根の山の向うは、外国なのだ。