画像は米国のマネーサプライ(マネーストック、ここではM1)の10年チャートであるが、11月に入って急上昇となっている。リーマンショック後の対策としてFRBが膨大なマネーを市場に放出しているのは周知のことだが、そのマネタリーベースの増え方に比べて、マネーサプライの上昇はゆるやかだった(貨幣乗数の低迷)。企業活動が活発でなく、銀行機能の働きが弱かったからである。しかし、このところの株価の上昇など、なんとか市場が自立回復するめがわずかに見えてきた。それがこのマネーサプライの上昇に反映しているものと思う。バーナンキにすれば、ようやく思ったとおりに動きだしたということで、この後さらに金融緩和を続けていきたい気分だろう。
しかし、その環境は厳しい。共和党の反対、リバタリアニズム(ティーパーティ)が強い支持を受けていること、資金流入のインフレに苦しむ新興国など、バーナンキの思うようにならない条件もまた整ってきている。まだ、緩和が足りないという人(クルーグマン等)もいるが。^^
バーナンキの思惑は中途で失敗するだろう。1930年代の大恐慌時も、様々な政策が打ち出されたが、対立から完璧な実施ができないでいるうちに、結局、より深い二番底が来てしまったのだった。
私の長期の展望からすると、今の株価上昇は、リーマンショックからのリバウンドに過ぎないと考えているが、その頂点付近の動きがそろそろ見えてきたようだ。
このマネーサプライの伸びにさらなる金融緩和で勢いを与えたいバーナンキ、反対する共和党・ティーパーティ勢力、じわじわと金利上昇に転じた長期債と、これらの要素が今後複雑にからみながら、最後の株価上昇相場になっていくと考えている。その頂点の時期はなんともわからないが、最短、年明けすぐ、最長、来年夏頃、そのあたりを目処としているが、どうにも断言はできない。本年初頭に想像していたよりは持ちそうだ。ただし、その後に来るのは、リーマンショックの株価下落が子供のように思えるすべての大暴落(金は除く)だと想定している。
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