米国株価が上昇し、TEDスプレッドも若干下がって、不安心理もやや落ち着きをみせてきた。しかし、ドルインデクスが高止まり(84)、金も1200ドルとなっているのは意外である。市場の現金志向は強いものがある。世界的に究極の現金は米ドルであり、ドルインデクスの高止まりは容易に説明できるが、金までもが、この志向に含まれているのはほんとうに驚きだ。この傾向は、前から書いているように、株金レシオのレンジ的動きから明らかであり、このあと、株価が上昇しても、金は1200ドル以上をキープする可能性も出てきたかもしれない。S&P500ゴールドレシオの1という値(つまり同値)は今後もひとつの目安となるだろう。
ここまで人々が金を頼りにする時代はほんとうに久しぶりのことだ。各国の通貨をつかさどる担当者たちは、この事態(通貨から金への逃避)を恐れて、古くから一般民衆の金取引を制限してきていた。しかし、1990年から2000年の金融安定期に、今後まさかまた金が表舞台に登場することはなかろうという予測から、各国とも、金ETFの創始など、金に関する取引を自由にしてしまったが、今はそれを後悔しているところだろう。今回の金の覚醒=高騰は、何千年にもおよぶ人間と金との長い歴史の中で、あいかわらず人々が金の魅力の記憶を忘れていなかったということを意味するのだろう。
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